年金は「月30万円」くらいあれば安心して暮らせそう。共働き世帯なら30万円くらい見込める?
「老後の収入が毎月30万円あれば暮らしていくには十分」と感じる人は多いのではないでしょうか。しかし、老齢年金だけで毎月30万円の収入を得るのは、実は簡単なことではありません。 本記事では、片働き世帯、共働き世帯それぞれで、老齢年金を毎月30万円受け取る難易度や、現役時代の年収がどのくらいあると、毎月30万円の年金額が見込めるのかを解説します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
片働き世帯の標準的な年金額は約23万円
日本年金機構が示す「令和6年度の年金額の例(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)」によると、夫婦2人分の標準的な年金額(夫の老齢厚生年金と2人分の満額の老齢基礎年金の合計額)は月額23万483円です。ここでの夫婦とは、平均的な収入(平均標準報酬43万9000円)で40年間就業した夫と、就業歴のない妻を指しています。 月額30万円と月額23万円では大きな開きがありますが、終始片働きの夫婦や単身者が老後に月30万円の年金を受け取ることは可能なのでしょうか。答えは「非常に難しい」です。 老齢年金の受給額は、年金保険料を納めた期間や現役時代の収入(平均報酬額)によって決まります。現在の制度上、老齢厚生年金の金額は平均報酬額が1230万円(厚生年金加入期間に常時、標準報酬月額が65万円(報酬月額63万5000円以上・賞与150万円×年3回)で頭打ちになり、それ以上は増えません。 厚生年金保険に20歳から60歳になるまでの40年間加入し、平均報酬額が上限の人がもらえる老齢厚生年金の金額は約22万円です。ここに2人分の老齢基礎年金の満額13万6000円を足すと35万6000円となり月額30万円を超えます。しかし、入社してから退職するまで年収1200万円超の収入を得られる人はほとんどいないでしょう。
共働きで年金30万円を受け取るには男女別の平均額以上の受給額が必要
共働き世帯であれば、月30万円の老齢年金を受け取るのは難しくないのでしょうか。 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険第1号保険者の平均年金月額は、男性:16万3875円、女性:10万4878円です。夫婦ともに平均額の年金を受け取ると年金額は片働き世帯の標準額よりも多い約27万円となりますが、30万円には届きません。 共働き世帯が月30万円の年金を受け取るには平均額以上の受給額が必要となり、簡単に受け取れる金額ではないと考えたほうがよいでしょう。