沖縄ヤギの可能性は無限大 臭くない!ヒージャーの好機到来、観光の目玉に? いい肉の日SP 【どローカルリポート】
きょう11月29日は「いい肉の日」。近年、右肩上がりで需要が伸びているのがヤギ肉だ。県内では刺し身用ヤギ肉は1キロ1万数千円の高値で販売されるなど好機を迎えているが、供給不足の状態が続いている。このさなか、先進的な育成方法で注目を集める糸満市の「ゴートハウス真壁」では、品種改良や多頭飼育に取り組み、ヤギ肉不足解消に期待がかかる。金城忠良代表(66)は「ヤギ肉は世界中で食されている。インバウンド(訪日客)をはじめ需要はまだまだ伸びる。ヒージャー(ヤギ)の未来は明るい」と意気込む。 【動画で見る】沖縄ヤギの可能性は無限大 くさくない!ヒージャーの好機到来、観光の目玉に? いい肉の日SP 【どローカルリポート
金城代表は糸満市真壁の出身。中学1年のころ、食用ウサギの繁殖でためた10ドルを元手にヤギの飼育を始めた。「繁殖したヤギをあちこちに売って、自分のお金で高校生の間に運転免許も取った」と振り返る。幼いころからヤギや動物と触れあった経験から、ヤギのささいな変化も見逃さないという。 ゴートハウス真壁ではボア、ザーネン、ヌビアンの3種を掛け合わせた三元交配のヤギを中心に約200頭を飼育。品種改良されたヤギは各種の長所を生かし上質で肉付きがいいという。多数のヤギを生産するために、青草ではなくヤギでは珍しい干し草をえさに与える。牧草専用の畑で栽培し、干し草は水分量まで管理する徹底ぶりだ。干し草にはヤギ独特の臭みを抑える効果もあるという。金城代表は「主食の草を品質管理することで、肉の品質安定化が図れる」と話す。ヤギ舎は入念な清掃と消毒が行き届き、多頭飼育で高まる疾病リスクを抑え、獣臭は感じられない。
ヤギ肉の需要は全国的に増加傾向にある。沖縄地区税関のまとめでは、オーストラリア産のヤギ肉の輸入シェアは、1990年代後半は沖縄がほぼ100%だったが、2016年には東京都などが沖縄の輸入量を上回ったとしている。低カロリー、高タンパクなヤギ肉はアジアやイスラム圏を中心に世界で食され、国内外で需要がある。 金城代表が運営する糸満市真壁の持ち帰り専門店「お肉のマカベ」にはやぎ汁、刺し身の注文が全国から寄せられる。なめらかで舌触りの良いヤギ肉はにおいを抑え、味に深みがあると評判だ。金城代表は「うまみがあって臭みがない肉の生産も可能だが、沖縄のヤギ好きは、においの強いものを好む人も多い。流通させるには時期尚早」と笑う。 県家畜改良協会によると、観光客らの需要に加え、ヤギ農家の高齢化や、なり手不足によりヤギ肉の供給が追いつかないのが現状だという。金城代表は「量産体制を整えるためにも農家間の情報共有を密にし若手農家を育成する必要がある。繁殖期が長い沖縄の強みを生かし、産業化できれば、沖縄のヤギは世界で評価される。可能性は無限大だ」と好機到来にヤギ愛もふくらむ。
The Ryukyu Shimpo Co., Ltd