実はあまり知られていない大麻取締法改正、12月の法改正で大麻規制はどのように変わるのか?
■ カンナビジオール(CBD)が持つ薬効 舩田:大麻草には、カンナビジオール(CBD)という成分が含まれています。前出のエピディオレックスには、大麻草由来のCBDが含まれており、従来のてんかん薬が効かない難治性てんかんの発作を抑える効果があります。 特に期待されているのは、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群という疾患の治療です。これらの疾患は厚生労働省の指定難病(※)です。 (※)治療法が十分に確立されていない疾患で、国の医療費助成の対象となる疾患。日本では、300以上の疾患が指定難病とされている。 ドラベ症候群もレノックス・ガストー症候群も、乳幼児での発症が多い疾患です。また、エピディオレックスは難治性てんかん以外の、同じく指定難病の結節性硬化症という疾患でも効果が認められています。米国及び欧州ではエピディオレックスは結節性硬化症の用途でも製造、販売が承認されています。 エピディオレックスに含まれる大麻草由来のCBDは、非常に多彩な作用を持つことがわかっています。特に、神経の興奮状態を抑える作用は、今後、さまざまな疾患の治療に役立つ可能性があります。 ──日本には、エピディオレックスの投与対象となる患者様はどの程度いるのでしょうか。 舩田:ドラベ症候群で約3000人、結節性硬化症は約1万人の患者様がいます。レノックス・ガストー症候群の患者数は不明です。エピディオレックスの投与対象となる患者様は多く見積もって、2万人から4万人と推計されています。 ──今回の改正によって大麻草から抽出されたCBD成分を含むサプリメントなどの製品(以下、CBD製品)の日本国内での販売が拡大する可能性が指摘されています。 舩田:CBD製品の多くは、リラックス効果を謳って販売されることが多くあります。また、皮膚に対する保湿効果も期待されており、化粧品等に含まれるケースも見られます。 ほとんどのCBD製品には、大麻草から抽出された成分が含まれており、良い効果が期待されるCBD以外にも、成分規制の対象となるTHCを含む可能性もあります。 法改正後は、一定濃度以上のTHCを含む製品は、麻薬として規制の対象となります。罰則規定が強化されているため、注意が必要です。 また「CBD製品」と謳っていても、実際にはCBDを含んでいない粗悪なものが出てくる危険性もあります。今後は、CBD製品の品質保証も重要になると思われます。