「9億円→100億円」韓国「乾癬」関連の医療費…10年で11.5倍増になった理由とは
【12月16日 KOREA WAVE】韓国で過去10年間、乾癬治療に関連する療養給付費の総額が約11.5倍に増加したことが明らかになった。健康保険が乾癬治療の負担軽減に効果的に寄与しているとの分析が出ている。 グローバル製薬バイオ研究機関IQVIAによれば、韓国で昨年、乾癬治療に使用された療養給付費は1019億ウォン(約108億7000万円)で、2013年の89億ウォン(約9億500万円)と比較して11.5倍に拡大した。 国民健康保険の療養給付費とは、医療機関や薬局、保健所などが健康保険の加入者または扶養者に提供した医療サービスの対価として支払われる費用だ。この費用には、疾病に対する診察や検査、薬剤提供、処置などの治療、入院、看護、移送にかかる金額が含まれる。 乾癬に関連する保険者負担金は2013年の53億ウォン(約5億6500万円)から昨年の893億ウォン(約95億2000万円)へと16.7倍増加しており、これは乾癬治療費の増加の主要な要因の一つである。保険者負担金とは、医療費を支払う際に健康保険公団が負担する金額以外に、患者自身が支払う金額を指す。 IQVIAは、この増加率の主要因として、高額治療薬の使用増加と保険適用の拡大が挙げられるとしている。 乾癬関連の医療機関別療養給付費は、上級総合病院と総合病院で大幅に増加している。 上級総合病院における乾癬療養給付費は2013年の55億ウォン(約5億8600万円)から昨年の638億ウォン(約68億円)へと11.6倍増加し、最も大きな増加率を示した。同期間に総合病院では19億ウォン(約2億円)から384億ウォン(約40億9000万円)へと20倍に増加している。一方、医院級では106億ウォン(約11億3000万円)から196億ウォン(約20億9000万円)に増加している。 IQVIAは「2017年を境に、上級総合病院の乾癬療養給付費総額が医院級を上回った」と指摘し、「それ以前は中等度から重度の乾癬患者管理において、療養機関の間の差はなかった」と分析している。 さらに「この時期以降、バイオ医薬品の使用が上級総合病院と総合病院を中心に拡大したことを意味する」と述べ、「健康保険が乾癬患者の疾患緩和に効果的に寄与していることを示している」としている。 乾癬は主に15歳から25歳の間に発症することが多いが、どの年齢においても発症し得る疾患だ。 乾癬は発症原因が明確ではないが、免疫系の異常により炎症が引き起こされることが特徴の免疫媒介疾患だ。乾癬による炎症は、皮膚が赤く盛り上がり、鱗のような状態になるなどの症状として現れる場合がある。過剰に活性化された免疫系が皮膚細胞の成長を加速することが原因であるとされる。 正常な皮膚細胞は1カ月かけて完全に成長し脱落するが、乾癬ではこの過程がわずか3~4日で進行する。脱落しない皮膚細胞が皮膚表面に蓄積し、鱗のような皮膚を形成することになる。 主な乾癬治療薬としてはヒュミラ(一般名:アダリムマブ)や「ステラーラ」(一般名:ウステキヌマブ)など、インターロイキン(IL)阻害剤系の治療薬が挙げられる。 IQVIAは「今後、乾癬市場は個別化治療戦略や新薬開発、患者の治療アクセス改善に重点を置いて発展していくと考えられる。単なる症状の緩和を超え、患者の生活の質を根本的に改善する方向に行くと予想される」と述べている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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