円キャリーが25年復活か、金利差は依然高水準-低ボラティリティーも
とはいえ、市場の金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は日銀の12月利上げやさらなる金融引き締めの可能性を依然示唆しており、来年の円キャリー取引は盛り上がらないとの見方もある。加藤勝信財務相が急ピッチの円安進行場面で、投機的な動きをけん制する発言を繰り返していることも要因の一つだ。
金利差のほか、直接投資と証券投資を通じた日本からの資本流出が続くなど構造的な問題もあり、24年の円はG10の中でパフォーマンスが悪い通貨の一つとなっている。円相場は対ドルで7月に161円台と約38年ぶりの円安水準を付けた後、円キャリー取引の巻き戻しで9月には139円台へ反発。11月に入り156円台まで再び下げたものの、直近は150円付近で推移する。
ラボバンクの為替戦略部門責任者、ジェーン・フォーリー氏は財務省の口頭介入や「12月の日銀の利上げに対する懸念が植田総裁の過激な発言によってあおられている」ため、今春には明らかだった「キャリー取引の信頼性と勢いが欠如していることが確実になる」と話す。
トランプ氏が11月25日、中国やカナダ、メキシコに対する追加関税の実施を自身のソーシャルメディアで表明したことも円キャリー取引にとってはリスクだ。特にメキシコ・ペソは、10%を超す高金利を背景に長らく円キャリー取引の対象通貨となってきたが、トランプ関税が同国経済を直撃すれば、日本とメキシコの金利差は縮小方向に向かう可能性がある。
--取材協力:Umesh Desai.
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Mia Glass, Masaki Kondo