エンツォ・フィッティパルディが大伯父ウィルソンに捧げる涙の勝利。宮田莉朋は15位/FIA F2第2戦ジェッダレース2
3月9日、2024年FIA F2第2戦ジェッダのフィーチャーレース(決勝レース2)がサウジアラビア市街地のジェッダ・コーニッシュ・サーキットで開催され、エンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がFIA F2通算2勝目を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)はグリッド位置違反によるペナルティもあり15位でチェッカーを受けている。 【写真】表彰台でブラジル国旗を掲げるエンツォ・フィッティパルディ 既報のとおり、3月7日に行われた予選で最速タイムをマークしたオリバー・ベアマンはF1に参戦のためFIA F2を欠場。予選で2番手タイムを記録したクッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)がポールシッターに変わった。それに伴い、予選最速ドライバーに与えられる2点はマイニが獲得している。 タイヤ交換義務を有する周回数28周で争われるフィーチャーレースは、気温26度、路面温度42度というコンディションで幕を開けた。マイニがターン1のホールショットを守り、2番手にジャック・クロフォード(ダムス・ルーカスオイル/アストンマーティン育成)が続く。 3番手には4番手スタートのフィッティパルディが、そして5番手スタートのアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が4番手に浮上する一方、3番手スタートのビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)が5番手に後退する。 後方ではジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がターン3でスピン状態となり、そこにロマン・スタネ(トライデント)が突っ込むかたちに。このアクシデントでオープニングラップにセーフティカー(SC)導入となる。また、ガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)もマシンにダメージを負い、3台が戦列を離れた。 レースは4周目に再開。上位勢はスタートタイヤにパープルのスーパーソフトタイヤ(オプションタイヤ)を履いたため、5周目よりDRS使用可能となるも、リスタートから順位は変わらず。 そんななか、2番手のクロフォード、6番手のデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)らが7周目にイエローのミディアムタイヤ(プライムタイヤ)に履き替える。 クロフォードらによるアンダーカットを阻止するべく、翌8周目にトップのマイニ、フィッティパルディ、アントネッリもミディアムに交換。9周目にはマイニ、フィッティパルディ、アントネッリ、クロフォードというオーダーに変わる。 1周分タイヤに熱が入っているクロフォードはアントネッリをパス。さらにはアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がファステストを更新し、アントネッリを攻略、タイヤ交換義務消化組の4番手に浮上する。 一方、19番手スタートの宮田は順調に周回を重ねていたが、グリッド位置違反で10秒のタイムペナルティを受けることに。宮田は7周目にピットに戻り、タイムペナルティを消化。11周目に2度目のピットインでタイヤをミディアムに交換するが、ここで宮田のマシンのエンジンが止まり、リスタートこそ叶うもこれで一時ラップダウンとなってしまう。 ミディアムタイヤスタートのファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル)がラップリーダーとなるなか、15周目、フランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)がターン1でスピンを喫しマシンを止めてしまう。これで16周目に2度目のSC導入となり、戦局は一変する。 ターン1のエスケープに止められたコラピントのマシンの回収作業に伴い、全車がピットレーン通過となる中、ミディアムスタートでピットを先延ばしにし2番手につけ」ていたアムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト)、3番手につけていたバーナードがここでスーパーソフトに交換。フィッティパルディ、マイニといったスーパーソフトスタート勢の前に出ることに成功する。一方、コレアはこの2度目のSCのタイミングでもステイを選択した。 レースは19周目に再開。引き続きコレアがレースをリードするが、コレアのみタイヤ交換義務を消化していない状況だ。SC前にマイニをかわしていたフィッティパルディが、リスタート直後のターン1でがバーナードを攻略し3番手に浮上する。 21周目、コルデールがコレアをパスしトップに浮上。その後ろではマイニがバーナードをパスし4番手に浮上する。さらに、22周目のターン1でフィッティパルディがコレア、コルデールの2台をまとめてアウト側からオーバーテイクしトップに浮上する。 クリーンエアを得たフィッティパルディはコルデールを1周2秒引き離し、一気にギャップの構築にかかる。24周目、マイニがコレア、コルデールを攻略し2番手に浮上する。しかし、その時点でフィッティパルディはマイニを5秒先行していた。 その後方では15番手走行の宮田が24周目に1分45秒090、25周目には1分44秒864と、2周続けてファステストを更新する。ただ、トップのフィッティパルディが27周目に1分44秒449をマークし、ファステストラップポイントを獲得することに。 28周目を終え、フィッティパルディが7.8秒差のリードを築きトップチェッカーを受け今季初優勝、FIA F2通算2勝目を飾った。2月23日に80歳で亡くなった大伯父ウィルソン・フィッティパルディに捧げる勝利となり、優勝インタビューでは涙も見せた。 2位にマイニ、そして3位にはファイナルラップの最終コーナー立ち上がりでコルデール、クロフォードの2台を攻略したハウガーが続いた。ゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)は7位で入賞を果たしポイントリーダーの座を守った。ペナルティやエンジンストールと、いい流れを掴めなかった宮田だが、15位で4レース連続の完走を果たしている。 次戦となる第3戦メルボルンは3月22~24日にオーストラリアのアルバートパーク・サーキットで開催される。 ■2024年FIA F2第2戦ジェッダ フィーチャーレース正式結果 Pos./No./Driver/Team/Time/Gap 1/14/E.フィッティパルディ/ファン・アメルスフォールト・レーシング/56'57.579 2/9/K.マイニ/インビクタ・レーシング/7.895 3/11/D.ハウガー/MPモータースポーツ/9.348 4/7/J.クロフォード/ダムス・ルーカスオイル/9.379 5/16/A.コルデール/ハイテック・パルスエイト/9.506 6/4/A.アントネッリ/プレマ・レーシング/10.044 7/5/Z.マローニ/ロダン・モータースポーツ/10.442 8/22/R.フェルシュフォー/トライデント/11.824 9/15/R.ヴィラゴメス/ファン・アメルスフォールト・レーシング/17.541 10/17/P.アーロン/ハイテック・パルスエイト/25.134 11/1/V.マルタンス/ARTグランプリ/25.680 12/24/J.デュルクセン/PHM AIXレーシング/26.269 13/25/T.バーナード/PHM AIXレーシング/30.424 14/8/J.コレア/ダムス・ルーカスオイル/38.415 15/6/宮田莉朋/ロダン・モータースポーツ/40.805 -/2/Z.オサリバン/ARTグランプリ/DNF -/20/I.ハジャル/カンポス・レーシング/DNF -/12/F.コラピント/MPモータースポーツ/DNF -/10/G.ボルトレート/インビクタ・レーシング/DNF -/21/J.マルティ/カンポス・レーシング/DNF -/23/R.スタネ/トライデント/DNF ・ファステストラップ:エンツォ・フィッティパルディ 1分44秒449(27/28) 212.796km/h ・ペナルティ #24 ジョシュア・デュルクセン:10秒タイムペナルティ/走路外走行でアドバンテージを得た #1 ビクトール・マルタンス:5秒タイムペナルティ/衝突要因 [オートスポーツweb 2024年03月09日]