駄目になりそうな時、自分を信じ抜くことが一番大事……ストロールが苦戦した2023年シーズンを振り返る「いつも順風満帆とは限らないのがレース」
2023年シーズンのF1は、アストンマーチンのランス・ストロールにとって厳しい1年となった。しかしストロールは、それによって自信を失ってはいけないと考えている。 【ギャラリー】これが鬼才の仕事。エイドリアン・ニューウェイ作のベスト10マシン チームメイトにフェルナンド・アロンソを迎えた今季は、アロンソが開幕から表彰台を立て続けに獲得する一方、ストロールはトレーニング中のアクシデントで右手を負傷した状態で開幕を迎えるなど流れも悪く、AMR23を手懐けるのに苦労したこともあって、最終的には4位がベストリザルトに終わった。 終盤戦ではアストンマーチンが序盤戦ほどのパフォーマンスを発揮できなくなっていたにもかかわらず、ブラジルとラスベガスで5位入賞を飾ったストロール。マシンが自分好みに仕上がってきたことを実感していたという。 「良い結果が出せるのは気分が良いことだ」とストロールは言う。 「でも僕は、プラットフォームがしっかり機能して、何か厄介なことに対処することもなく自由にマシンを走らせることができれば、良いレベルに達して自分の力を最大限に発揮できると思っていた」 「ここ数ヵ月に渡ってマシンに変更を施していて、マシンを自由にベストな状態で走らせることができない週末があった。自分の思い通りの動きではなかったからね」 「このレベルになると、問題が起こってマシンが思うように動いてくれなかったり、自分のドライビングスタイルに合わなかったりすると、うまくいかないものだ」 「そういう時は、自分に疑いをかけてはいけない。物事がうまくいっている時は思い通りに走れるし、そうでない時は思い通りにならず、難しい状況になるということを分かっておかないとね。それがF1なんだ」 「ドライバーのレベルは高いし、自信を持って快適にマシンを走らせることができていないと、速く走ることはできない。それが僕の認識だ」 ストロールの2023年シーズンは、技術的な問題に悩まされてフリー走行の時間を失うことも何度かあった。これについて彼は次のように語る。 「ああ、たくさんの不運に悩まされ、多くの機会を失ったシーズンだった」 「不運という言葉はあまり使いたくないんだけど、トラブルの類に関しては、不運だっただろうね。機会を失ったのは確かだと思う。サウジでは4番手を走っていてエンジンにトラブルが起こったし、モナコの予選ではデブリに当たってダメージを受け、中団からのスタートになって週末を棒に振った。鈴鹿のレースだって良いレースをしていたのにリヤウイングにトラブルが起きた」 「ザントフールトでは雨が降ってきた時にピットストップ戦略でミスをした。コースにとどまったのは間違った判断だった。多くのポイントを獲るチャンスだったのにだ。でもそれもシーズンの一部だ」 こういった数々の不運を振り返って、ストロールはさらにこう続けた。 「自分の思い通りにいくこともあれば、そうでないこともある。トライを続けて、1回1回のレースウィークエンドに集中している限り、そういったうまくいかないことも次のレースには状況が変わっている可能性だってある」 「もし過去のこと、これまでに起こったことに囚われていたら、次のチャンスがやってきた時にそれを逃すことになるだろう。それは良くないし、今を生きることが大事なんだ」 「1戦1戦を大切にしたい。ジェットコースターのようになることだってある。いつも順風満帆にはいかないし、それがレースだと思う」
Adam Cooper
【関連記事】
- ■予選通過ギリギリだったアロウズが、後半はあわや優勝&PP。ヒルが“カーナンバー1”に相応しい輝き見せる|シーズン中に“確変”したF1チーム/ドライバーたち
- ■角田裕毅が、個人マネージャーとしてマリオ宮川氏と契約した理由。そして”同級生マネージャー”平松氏へ見せた感謝の気持ち
- ■国内レース育ちの宮田莉朋がいきなりFIA F2へ……特に苦労する点とは? スーパーフォーミュラより“原始的”なマシンで「感覚的に乗れるようにならないと」
- ■これが鬼才の仕事。エイドリアン・ニューウェイ作のベスト10マシン
- ■レッドブルF1、2024年マシンRB20は「革新よりも進化」を目指す。グリッドにはRB19の“パクリマシン”続出する?