大阪・関西万博の経済効果は2兆7457億円 短期出展する中小・新興企業377社の狙い
2025年大阪・関西万博の開幕まで1年をきり、万博に出展する中小企業やスタートアップ(新興企業)の顔ぶれがほぼ出そろった。展示の主要な舞台となるのは大阪府市の大阪ヘルスケアパビリオン(大阪パビリオン)で、脱炭素や健康などの分野に強みを持つ延べ377社が登場。各企業は万博後の成長を見据えるが、出展の効果を高めるためには、万博来場者らに会場外のイベントや産業施設の訪問を促す「拡張万博」の取り組みも重要となりそうだ。 ■1週間ごとに出展 「万博は未来社会へのスタートライン。すばらしい技術や可能性を秘めた中小企業のみなさんと、未来やヘルスケアのあり方の羅針盤を作りたい」。3月25日、大阪市内で開かれた大阪パビリオンに出展する中小・新興企業の発表会。吉村洋文・大阪府知事が力強くあいさつした。 377社は脱炭素や健康など26テーマに分類され、令和7年4月から半年の万博期間中、1週間ごとに展示を入れ替えて出展する。 中小・新興企業の技術やサービスを紹介するゾーン(約160平方メートル)は、パビリオンの一角に設置。金銭面や技術開発で支援が可能な大手の14企業・団体が各テーマの「取りまとめ役」を務める形で、各企業・団体がそれぞれ出展企業を選定した。各企業は最大100万円までの出展料を払うことになっている。 26テーマは、「観光の新規事業の実験場」(関西イノベーションセンター)▽「カーボンニュートラル トレジャーハント」(大阪産業局)▽「身近な課題や世界のお困りごとを大阪の町工場が解決します!」(大阪商工会議所・大阪信用金庫)-など。各テーマごとに5~66の中小・新興企業が出展する。 その中の1社、大阪大学蛋白(たんぱく)質研究所発ベンチャー・マトリクソーム(同府吹田市)の山本卓司社長は「万博ではiPS細胞(人工多能性幹細胞)をみてもらい、世界に発信したい」と強調。同社は、iPS細胞をシャーレ(容器)に固定する試薬の販売が主要事業といい、「万博出展が直接、商売につながるかどうか分からないが、iPS細胞や当社のことをまずは知ってもらうことが、事業の成長につながると期待している」と語った。 ■1970年万博でも飛躍