【高校サッカー選手権】正智深谷、浦和東に2-1で競り勝ち4強進出
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選は11月2日、浦和駒場スタジアムで準々決勝が行われ、インターハイ(総体)予選ベスト4の正智深谷が浦和東に2-1で競り勝ち、11月10日の準決勝(NACK5スタジアム)で聖望学園と対戦することになった。正智深谷の4強進出は4年ぶり9度目となる。 【フォトギャラリー】 浦和東 vs 正智深谷 8年ぶり4度目の優勝を目指す正智深谷は、初戦の2回戦こそ伊奈学園を8-0と圧倒したが、3回戦は市立浦和に2-1で逆転勝ち。粘り強い試合運びで勝ち上がった。総体予選ベスト8で、6年ぶり17度目の準決勝進出を狙う浦和東も3回戦は埼玉栄との接戦を2-1で制しての8強入り。システムはともに4-2-3-1だ。 正智深谷がラッキーな得点で先制した。前半5分、左SB鹿倉颯太(3年)が蹴った左CKからCB佐藤飛友(3年)がシュート。これが相手DFのオウンゴールを誘い、幸先のいいスタートを切った。 ところがこの後は、しばらく浦和東がリズムをつかんで優勢に試合を進めた。持ち前の長いキックと鋭いサイド攻撃を武器に正智深谷を自陣に閉じ込め、主将のボランチ林直孝や右MF田中涼賀(ともに3年)が惜しい一撃を放った。決定的なチャンスは36分、トップ下の河原塚悠太の左クロスをFW福島蒼介(ともに3年)がシュート。惜しくも左に外れ、アディショナルタイムにはCB石﨑陽太郎(3年)が河原塚のFKをヘッドで合わせたものの、バーを通過して追い付けなかった。 正智深谷の決定機は、35分に右MF赤川空音の右クロスからFW中島亜漣(ともに3年)が上手にミートした1本だけ。前半を1-0で折り返した。 ハーフタイムを挟むと浦和東の勢いは衰え、対照的に正智深谷が攻勢に出た。 8分に中島が鹿倉の左クロスから決定的なヘディングシュートを放ったが、バーのわずかに上だった。しかし14分に右サイド20メートル付近でFKを獲得すると、鹿倉が自慢の左足からファーポストの上に見事な軌道を描いたシュートを突き刺し、これが決勝点となった。 主将のボランチ大和田悠(3年)が、豪胆に攻め上がって3本のシュートを打てば、鹿倉はFKの後にも22分に惜しくも外れた超ロングシュートを放った。26分にはCB岸田永遠(3年)が際どいヘッドで相手ゴールを脅かす。 一方の浦和東は3本のシュートしか放てず、前半のリズムを出せなかった。それでも37分、石﨑の左ロングスローがゴール前で混戦となり、石﨑が左から上げたクロスを福島がヘッドで右隅に決めて1点差。アディショナルタイムに2度の好機があり、そのうち林の強シュートは得点の可能性もあったが、決められずに惜敗した。 正智深谷の小島時和監督は「前半はオウンゴールで先制してラッキーだった。その後は押し込まれたが、相手のミスにも助けられて失点なしで終われて良かった」と前半を振り返る。 ハーフタイムにはサイド攻撃の徹底とマイボールを大切にすることを指示。これが効いたようで、徐々にペースを取り戻した。 指揮官が「2点に絡んだ鹿倉に助けられた。キック力がいいのが強みですね」と背番号14に感謝する。 一番の武器が精度の高い左足だ。当人は「きのうも同じ位置からFKの練習をしました。あそこからだといつもはニアを狙うのですが、壁の前に仲間が2人入ったことでGKがニアを気にしていたので、ファーに蹴ったんです」と満面の笑みで答えた。 主将の大和田は「内容が悪くても勝ち上がれて良かった。浦和東はチームとしてやるべきことがはっきしていて手ごわかった」と苦しい試合を制して安どの表情を浮かべる。 準決勝は優勝候補筆頭の昌平を破った聖望学園だ。今季は関東高校大会予選準決勝でPK戦勝ちし、県1部(S1)リーグでは1勝1敗だ。小島監督は「3回戦も今日もスカッと勝てなかった。4年ぶりの準決勝なので、次は思う存分やってもらいたいですね」とイレブンにエールを送った。 (文・写真=河野正)