三菱商事、印トレーディング新拠点「RtMバーラト」始動。原料炭・銅・アルミなど拡大する需要捕捉
三菱商事の金属資源トレーディングを担うRtMグループのインド新会社RtMバーラト(ニューデリー)がきょう10日から本格始動する。同社は三菱商事RtMインターナショナルの子会社で、インド三菱商事が担っていた金属資源トレーディング事業を引き継ぎ、発展させる。経済成長が見込まれるインド市場において、主要鉄鋼メーカーの粗鋼生産能力拡大に伴い需要増加が見込まれる原料炭や、電化や都市化の進展に伴い需要増が見込まれる銅やアルミをはじめとする金属資源需要を捕捉する構え。また、需要変動が予測されるインドにRtMとして根を張り、市場を的確に捉えることで、三菱商事グループ全体と横断的に連携し、グローバル利益最大化に貢献していく。 インド三菱商事の主軸となっていたのは銅地金とアルミ地金のトレーディング事業。今後はインド国内での銅・アルミ製錬能力拡大を見据えて主原料となる銅精鉱とボーキサイトにも注力する予定。さらに原料炭をはじめとする鉄鋼原料、自動車の電動化進展に伴うバッテリー原料需要、RtMの主力品目である鉄鉱石、ペレット、コークス、貴金属などについてもアンテナを高く張る。 インドでの金属資源トレーディングを発展させる上で人員体制も強化。外部から専門性の高い人材を新規雇用し、既存の金属資源トレーディングビジネスの拡大を図るだけでなく、新規ビジネス開拓、業界インテリジェンス深化を目指す。 インドは世界一の人口を誇り、経済規模(GDP)は2022年時点で世界5位。将来的にも今後20年以上にわたり労働人口が増加するという人口動態が持続的な経済成長を支える。また都市化や電化の進展、中間層の拡大に伴い消費市場の拡大が見込まれている。RtMバーラトの社長としてかじを取る廣田信治氏は「政府はインフラ整備・拡張にも重点的に取り組んでおり、経済成長の加速、世界の重要製造拠点化を目指す機運が高まっている。金属資源需要は中長期にわたり堅調に拡大していくだろう」と述べた。 廣田社長は1992年に三菱商事に入社後、南アフリカ・ヨハネスブルグ支店、オーストラリア三菱商事に駐在しており、豊富な海外経験が強み。22年4月からインド三菱商事に駐在し、この11月現職となった。 拠点名の「バーラト」はインドを指す言葉。廣田社長は日本で一般的な「インディア」でなく「バーラト」を採用した理由について「インド人は自国を古代インド言語に由来するバーラトと称している。地場に根差し、ユーザーと密接につながることが重要であるという想いから」と語った。「バーラト」は、G20サミットで国名を表示するプレートに採用されたことでも話題になった。