米中関係、教育交流が担う重要な役割
【東方新報】「人と人との交流、特に教育交流は、米中関係の大局で重要な役割を担っている。最もインパクトのある出来事は、時として『静かに起こる』ものだ」、米国と中国の教育協力分野に携わる専門家はこのように言う。 ワシントンDCに拠点を置く「中米関係研究所(Institute for China-America Studies)」のデニス・サイモン(Denis Simon)特別研究員は国営紙中国日報(China Daily)のインタビューに応じ、「2024年にも対話を続けることで、両国間の教育交流と協力の継続をサポートするのに役立ち、さらなる進歩が見られることを期待しています」と語った。 サイモン氏は最近まで、ノースカロライナ大学(University of North Carolina)チャペルヒル校のケナン・フラグラー・ビジネススクールでグローバルビジネスとテクノロジーの実習教授を務めていた。また、2015年から20年まで、米デューク大学(Duke University)と湖北省武漢大学(Wuhan University)のジョイントベンチャーである中国・江蘇省(Jiangsu)昆山市(Kunshan)の「デューク昆山大学(Duke Kunshan University)」の副学長兼副総長を務めた。 サイモン氏は「私たちが教育交流の分野で進歩を維持し、議論を続けることができれば、米中関係全体としての大きな問題を克服することができると期待しています」と、教育交流の役割を強調した。「『人と人との外交』は、時として静かに進展します。派手なファンファーレや騒音は伴わなくても大きな成果をもたらすものです」と話す。 彼によれば、昨年9月にニューヨークで開催された新型コロナウイルス後初の「米中高等教育対話(U.S.-China Higher Education Dialogue)」は非常に成功だったという。米国国際教育研究所(IEE)と中国国際教育交流協会(China Education Association for International Exchange)が共催したこのイベントには、約15の中国の大学とほぼ同数の米国の大学が参加した。 学部教育、大学院教育、大学同士の研究協力、また2国間の教育交流に影響があるビザ問題など政策問題を含め、議論は2国間の教育関係のあらゆる側面に及んだという。 サイモン氏は、コロナ感染症まん延前には37万人の中国人留学生が米国にいたが、現在では28万9000人にまで減少していると明かした。そして、コロナまん延後は多少回復が見られるものの、以前のように米国への渡航希望者が多かった「良き時代」に戻るかどうかはまだ分からないと、心配点も口にしている。 その一方で、中国にいる米国人留学生の数は「本当に限られている」とも指摘する。その数は11年頃に約1万5000人のピークを迎えたが、22年までには約400人に減ってしまっているという。「米中両国が互いに理解し合えるかどうかは、太平洋を渡り、互いの文化や国について学び、言葉を話せるようになる若い世代の双肩にかかっています」、サイモン氏はこう強調する。 「そして、もし若い世代がそれを達成できなければ、米国は特に苦しむことになります。なぜなら、ビジネス、政府、学界のいずれに携わるにせよ、中国の状況を深く理解する専門家がいなくなってしまい、長期的に見て良い結果を生みません」、彼はこう付け加える。 昨年11月にサンフランシスコで行われた中国の習近平(Xi Jinping)国家主席と米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の首脳会談で、習主席は「中国は今後5年間で5万人の若者を中国での交換留学プログラムに招待する用意がある」と述べた。 サイモン氏はこれを「素晴らしいジェスチャーだった」と高く評価している。彼は「そして今、世界的な役割という観点から中国を研究したいと考えている全く新しい世代の学生たちがいます」と強調する。中国の環境政策、健康政策、食料安全保障に関する政策、中国と世界の関わり方に影響を与えるあらゆる事柄についてもっと理解したいと思う若い世代が確かにいるのだという。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。