職場からいきなり雇用契約書にサインを求められたけど、サインしていいの? 2024年4月、労働条件の明示方法が変わる……労働者ができる備えとは? 後編
その他の留意事項。保険や相談窓口の情報もしっかりと見ておきたい
「前編」で参考例として挙げている労働条件通知書については、雇用保険加入の有無や健康保険・厚生年金加入の有無、相談窓口についても記載する欄があることにも注目してください。 いわゆる社会保険とひと言でいっても、働いている場合には、労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金保険など、複数の保険が含まれています。社会保険に加入することは、その中の「どの公的保険」に加入する条件なのかは確認してください。 保険に加入すると保険料が控除されますから手取りが減るのを嫌がる方もいますが、雇用保険の加入はぜひパートでも検討していただきたい点です。特に雇用保険については、教育訓練給付の改正など、「失業したとき」だけではない利用方法もメリットが見込まれます。 雇用保険は、現在、週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある人が対象です。ただし、将来的に、どこまで要件を緩和するか調整するか審議するという報道もされています(出典:厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」)。 今後は、20時間未満の場合も採用時からすぐに雇用保険加入を勧められるケースもあるでしょう。「パート社員」などの名称だけでなく、保険の加入の有無、もしくは何かあった時の相談窓口など、労働条件通知書の中に記載されているさまざまな項目にも目を通しておきたいものです。 今回の改正は企業側だけでなく、労働者の意識も変えていくべき必要がある改正だといえるでしょう。雇用契約書もしくは労働条件通知書、今後はぜひしっかりと読み込んでみるのはいかがでしょうか。 出典 (※1)ファイナンシャルフィールド 2024年4月、労働条件の明示方法が変わります。労働者ができる備えとは? 前編 (※3)厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱 執筆者:當舎緑 社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
ファイナンシャルフィールド編集部