【いよいよ明日発売】乗ってどうだ? BYDシール 中国試乗で見えた走りのパフォーマンス
動力性能に見合った制動力を!
2023年10月にはBYDが日本のメディアを招待し、深セン市にある本社の見学、そして珠海国際サーキットでのシール試乗会を開催した。 シールを国際的なレースも開催できるサーキットで試乗するのは初めてだったこともあり、とりあえずは純正の限界を知り尽くそうと考えた。 乗り心地は変わらず良かったものの、より直線区間が多いサーキットではブレーキの扱いづらさが目立った。 全輪駆動モデルでは出力530psを発揮するが、その加速力に見合うだけの制動力が備わっているとは言いにくい。 もちろん本格的なハイパフォーマンスセダンの水準は求めないが、コーナリング時の減速においては明確に物足りなさを感じた。 また、ブレーキペダルも半分ぐらいまではスカスカ、そこから踏み込むことでじんわりと効いていく「慣れ」が必要なタッチだ。 BEVは、加速するだけであればアクセルを踏めばモーター駆動により瞬時に速度を上げてくれる。その一方で、高速で移動する物体は急には止まれない。 シールの位置付けとしては街乗り性能が重視されるべきであるし、0-100km/h加速3秒台のような爆発的なパフォーマンスよりも緊急時にしっかりと対応できるブレーキ性能の方が肝心だ。 ただ、逆に言えば走りの面における懸念点はそれぐらいで、乗り心地に関してはドイツ車的な硬さで安心・安定のある走行体験をもたらしてくれた。 スポーティな純電動セダンはまだ日本で少なく、シールが発売されれば大きな話題を呼ぶだろう。シールがライバルとして見据えるのはBEVだけでなく、同じDセグメントセダンのガソリン車たちも含まれる。 日本での販売価格は明日6月25日に発表予定とのこと。なみいるライバルたちにどう挑むのか、目が離せない。
加藤博人(執筆) AUTOCAR JAPAN(編集)