重文の水力発電所公開 北茨城「石岡第一」 113年稼働続ける
国の重要文化財に指定されている茨城県北茨城市中郷町の水力発電所「石岡第一発電所」が11月23日、一般公開された。運転開始から現在まで約113年使われている施設で、発電所本館は日本に現存する最古級の鉄筋コンクリート造りの建築物。県内外の計約30人が参加し、普段は見られない内部を熱心に見学した。 同発電所を多くの人に知ってもらおうと、運転管理する東京発電(東京)が主催。依頼を受けて見学会を開くこともあるが、参加者を一般募集して公開するのは初めてという。 大北川沿いにある同発電所は、日立鉱山の事業拡大に伴う電力需要の増加に対応するために建設され、1911年に完成。日本の近代化に貢献した。2008年に重要文化財に指定された。 同日、参加者は重要文化財となっている本館旧変圧器室などを見学。東京発電茨城事業所の担当者から同発電所の歴史を聞き、建物の特徴についても「本館のモルタルには海藻を使い、粘着性を上げて施工した記録がある」などと説明を受けた。本館発電機室では室内のモダンな設計や、ごう音を立てて稼働する現在の水車発電機をじっくりと見ていた。 友人と参加した北茨城市、安嶋てる子さんは「地元に重要文化財の発電所があると聞いていたが、見るのは初めて。昔の雰囲気がする建物ですてきだった」と話した。同事業所の角和男所長は「近くで建物を見てもらい昔の技術を少しでも感じてほしい。自分たちも設備を絶やすことなく、しっかりとメンテナンスして次世代に引き継ぎたい」とした。
茨城新聞社