【トランプは台湾を“見捨てる”のか?】頼清徳次期政権が進めうる新たな戦略
2024年3月13日付Taipei Times紙の社説は、バイデンの一般教書演説が台湾海峡の平和と安定を含む国際問題に焦点を当てたことを評価するとともに、孤立主義のトランプが11月に選ばれる場合に備え、台湾の頼清徳次期政権は米国や近隣諸国と対中脅威を共有し新たな戦略を立てるべきであると述べている。 バイデン米大統領は3月7日、台湾海峡の平和と安定を支持することを約束した。彼の一般教書演説では初めてのことだ。彼は、「われわれは中国の不公正な経済慣行に反対し、台湾海峡の平和と安定のために立ち上がる」と述べた。 バイデンは、アジア太平洋地域における国家のパートナーシップと同盟関係を再活性化させ、米国の最先端技術が中国の兵器に使用されないようにしたと付け加えた。 11月の米大統領選挙はバイデンとトランプとの再戦になりそうだが、バイデンの一般教書演説は、米国の利益を優先する取引型の指導者で国際問題では孤立主義をとるトランプよりバイデンの方が国際問題で良い仕事をしてきたと主張できたと考えられている。 バイデンの言葉は、台湾海峡を越えて増大する中国の軍事的侵入への警告のみならず、中国の経済的不公正と地政学的拡張主義との戦いは、ロシアと同様に大きな課題となるとの基調を打ち出した。バイデンの演説は、台湾を含む米国とその同盟国との関係を破壊する中国のプロパガンダによって長い間宣伝されてきた「アメリカ懐疑論」の台頭にも立ち向かった。 5月に発足する頼清徳次期政権は、米国の選挙に備えるとともに、米国と相互に信頼できる有益な関係を確保するために、新たな戦略を立てるべきである。優先事項の一つは、台湾と中国の緊張関係をインド太平洋の枠組みの下に置き、米国の外交政策がその影響力を維持し、この地域の秩序を保つようにすることである。
台湾は、国際的に志を同じくする民主主義国家、特にフィリピン、インド、日本、韓国との協力も進めるべきだ。昨年、中国海警局がフィリピンの船舶に軍事用レーザーを照射して以来、マニラは少なくとも18カ国と新たな安全保障協定を結んでいる。 台湾は、それに学び、中国の侵略を抑止すべく、台湾海峡だけでなく南・東シナ海にわたる安全保障作戦を確立すべきだろう。脅威認識の共有は、戦略的関係を緊密化するのに最も重要な原動力の一つとなる。 台湾の次期政権は、中国の強圧的な拡張主義に対する米国と国際社会の懸念を最大限に利用し、国家の主権と発展を守ることに貢献すべきである。 * * *