DHの“固定概念”を打ち壊した「9.2」 異次元の54-59を達成した大谷翔平の歴史的な1年を物語る「数字」とは
文字通り歴史的な1年だった。 現地時間9月29日にメジャーリーグのレギュラーシーズン最終戦が行われ、ドジャースの大谷翔平は敵地でのロッキーズ戦に「1番・DH」で先発出場。4打数1安打1盗塁で、チームの2-1での勝利に貢献した。 【動画】シーズン最終戦で「54‐59」達成!大谷翔平が59盗塁を決めたシーン ドジャース移籍1年目は、周囲の予想を上回る異次元のシーズンとなった。史上初となる「シーズン54本塁打・59盗塁」に到達するなど様々な金字塔を打ち立て、打率.310、54本塁打、130打点、59盗塁、長打率.646、OPS1.036のハイアベレージを記録。驚異のリーグ10冠という目に見える結果を残した。 さらに驚くべきは、打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す数値「WAR」の値だ。 近年のMVP投票においても基準となっているWAR。しかし、“守備の貢献度”がないフルタイムのDH選手は例外なくマイナスから評価されるため、過去にどれだけの好成績を収めようとも数字が高まるケースはなかった。ちなみに過去最高は1995年のエドガー・マルティネスが残した「7.0」だった。 果たして大谷は、bWAR(米野球専門サイト『Baseball Reference』のWAR)が9.2、fWAR(米データサイト『Fangraphs』のWAR)が9.1を記録。ともに今シーズンのナショナル・リーグではトップであり、歴代のDH選手の中でも最高の値を残したのだ。 今季のMVPレースの行方が議論された際、大谷の受賞を反対する一部の識者は「守らない」ことへの異論を唱えた。しかし、今年のWARは大谷が従来のDH選手に抱かれてきた“打つだけ”という固定概念のようなものを覆したようにも思える。それほど「シーズン50本塁打・50盗塁」を軽々と超えた価値は大きいと言えよう。 こうした現状を考えれば、大谷のDH選手史上初となるMVP受賞も確実なように思えるが、投票権を持つ記者たちはいかなる判断を下すだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]