新作がカンヌで賛否両論。巨匠 フランシス・フォード・コッポラ監督の歩みを振り返る
情に熱い男
家族の絆が強い家に生まれ育ったフランシスは、情にあつい男性だ。大学のクラスメイトだったジェームズ・カーンやレイニー・カザンを監督作に起用したし、何度も起用しているダイアン・レインとは家族ぐるみの付き合いだという。また落ち目だったところを『ゴッドファーザー』(’72)に起用され、アカデミー賞俳優となってまたもや悪癖がぶり返したマーロン・ブランドのわがままに『地獄の黙示録』(’79)と『ドン・ファン』(’95)で2度も付き合っている。アダム・ドライバーとナタリー・エマニュエルが主演の『メガロポリス』(’24)にも『地獄の黙示録』(’79)からの付き合いであるローレンス・フィッシュバーンや『友よ、風に抱かれて』(’87)のDBスウィニーらをキャスティング。さらに『アウトサイダー』(’83)ミュージカルを制作するアンジェリーナ・ジョリーと娘ヴィヴにインスタグラムで応援メッセージを送ってもいる。
破産したことも...
『ゴッドファーザー』(’72)とその続編、『地獄の黙示録』(’79)と立て続けにヒットを飛ばしたフランシスだったが、ラスベガスの街を完全再現するセットを作った『ワン・フロム・ザ・ハート』(’81)が大コケ。彼の会社ゾエトロープ・スタジオは1983年に破産を申請することになった。製作費が嵩む作品が多いフランシスは、今までに3度の破産を経験していて、製作費1億ドルと噂される新作『メガロポリス』(’24)のためにカリフォルニア州ナパにあるワイナリーの大半を売却したようだ。 (写真:フランシス・フォード・コッポラ)
マイケル・ジャクソン主演映画も
『ワン・フロム・ザ・ハート』('81)後は、予算控えめな『アウトサイダーズ』(’83)や『ランブルフィッシュ』(’83)といった青春映画で再び脚光を浴び、ヤング・ハリウッドの時代を牽引。甥のニコラス・ケイジを起用しソフィアも脇役で出演した『ペギー・スーの結婚』(’86)ではコメディの才能を披露したし、ディズニーランドのアトラクションとしてマイケル・ジャクソン主演の3D映画『キャプテンEO』(’86)を監督するなど新境地も開拓している。 (映画『キャプテンEO』(’86)より)