綾瀬はるか、自然体の主人公を演じ「むき卵に」 共演・大沢一菜に手作りアルバム手渡す
長編デビュー作「こちらあみ子」で第27回新藤兼人賞金賞を受賞するなど高く評価された森井勇佑監督の最新作「ルート29」の公開記念舞台挨拶が11月9日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、森井監督をはじめ、主演の綾瀬はるか、共演する大沢一菜、市川実日子が登壇した。 【フォトギャラリー】舞台挨拶に立った綾瀬はるか、大沢一菜ら、その他の写真 中尾太一の詩集「ルート29、解放」にインスピレーションを受けた独創的なストーリーで撮りあげたロードムービー。鳥取の町で清掃員として働く孤独な女性・のり子(綾瀬)はある日、仕事で訪れた病院に入院する理映子(市川)から「娘のハルを連れてきてほしい」と頼まれ、姫路へと向かう。やがて出会った風変りな女の子・ハル(大沢)と、姫路と鳥取を結ぶ国道29号線を進むなかで、さまざまな人たちと出会いながら互いの絆を深めていく。 コミュニケーションをとるのが苦手な役どころに挑んだ綾瀬は、「これまでの役は、アクションの稽古を積んだり、立ち位置も決まっていたりと、積み上げの作業が多かった。今回は全部そぎ落とす作業で、無になって、すべてを委ねる境地で挑んだ」と述懐。その胸中を「むき卵になった気持ち」と独特なフレーズで表現していた。 舞台挨拶では、鳥取で行われたロケの様子を捉えたメイキング映像もお披露目され、綾瀬は「いろいろ思い出しますね。本当にトンボ(主人公のニックネーム)とハルがいたのかなって。年も違いますが、まったく違いを感じず、不思議なふたりだった」と、「こちらあみ子」で主演を務め、本作にも出演する大沢との共演に思いをはせた。 また、綾瀬が大沢に、手作りの思い出アルバムを手渡す場面もあり、大沢は「最高です、宝物にします!」と感激しきり。以前から綾瀬の大ファンだったといい、「綾瀬さんは監督が言ったことを100倍理解し、解釈してお芝居をしていた。私は言ってることがわからないときは、聞き流しているので(笑)、見習いたいと思いました」と、先輩俳優の佇まいに瞳を輝かせた。 市川は、親交のある綾瀬について「以前から、役をまとっていない、素材そのもののような役を演じているところを見たいと思っていた」と語り、本作で綾瀬が披露する自然体の姿に惚れ惚れ。大沢についても「魅力のかたまり。とてもかっこいい方だなと思った」と、将来に期待を寄せた。 森井監督は「トンボとハルが共鳴し合う姿を描きたかった」といい、「時間をかけて、ドキュメンタリー的な距離の縮め方を捉えたかったので、順撮りにこだわった」と振り返っていた。