ドライバーの時間外制限労働に上限が。物流の「2024年問題」で、暮らしへの影響は?配達の負担を減らすためにできること
2024年4月1日から、働き方改革の一環としてトラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限が課されます。これによりドライバーが一日に運搬できる荷物の量が減少し、多方面に影響が出ることが予想されています。物流の「2024年問題」と呼ばれるこの問題に対し、消費者ができることは何でしょうか。 【写真】今後懸念される2024年問題の影響 * * * * * * * ◆これからどんな影響が出てくる? 特に懸念されている問題は「配達の遅れ」です。 4月から時間外労働に上限が課されるようになると、ドライバーの労働時間が減り、一日に運べる荷物の量も減ることが予想されます。これにより荷物の配達が遅れたり、「翌日配達」や「日時指定」が守られなくなったりする恐れが出てきます。 また、時間外手当や運送会社の売上が減少することで、ドライバーの収入が減ることも考えられます。これを理由に他の職種に転職するドライバーが増えた場合、ドライバー不足に拍車がかかり、輸送力低下の問題がより深刻化しかねません。 国の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、2024年問題に対して具体的な対応を行わなかった場合、2024年度には14.2%、2030年度には34.1%、輸送能力が不足する可能性があると試算されています。 欲しいものが欲しいときに届かなくなる「物流危機」が迫るいま、消費者もドライバーの負担を減らすために協力する必要があります。
◆消費者ができること ドライバーの負担を減らすために消費者ができることは、「再配達を減らすこと」です。なるべく荷物を1回で受け取るための工夫をご紹介します。 ・置き配や宅配ボックスを利用する 在宅か不在かに関係なく、いつでも荷物を受け取ることができます。 ただし、対面で受け取る場合よりも、盗難や紛失、雨による汚損の可能性が高まる点には注意が必要です。 ・宅配ロッカーを利用する 駅や商業施設に設置されている宅配ロッカーも、在宅か不在かに関係なく荷物の受取ができます。 デメリットとしては、設置されている施設の営業時間外には受け取れない、重い荷物だと家まで運ぶのが大変、といったことが挙げられます。 ・営業所やコンビニで受け取る 運送会社によっては、営業所やコンビニで荷物を受け取れるサービスを行っています。宅配ロッカー同様、荷物を家まで運ぶ必要がある点にはご注意ください。 ・日時指定を行う 日時指定可能な荷物の場合は、あらかじめ受け取りやすい日時を指定しておくことで、再配達のリスクを減らせます。 ・なるべくまとめ買いする 定期的に買う必要のある消耗品については、足りなくなるたびに1個ずつ買うのではなく、一度に複数個まとめて買うようにすると、配達の回数を減らせます。 ・運送会社が提供する通知サービスを利用する ヤマト運輸、佐川急便など、運送会社によってはメールやSMS、LINEなどで配達予定の荷物を通知するサービスを提供しています。 もうすぐ荷物が届くことがわかるので、より確実に受け取ることができます。 ドライバーにとって荷物の再配達は大きな負担になります。今後も再配達の数が減らない場合、再配達を有料化する運送会社が出てくる可能性もあります。 なるべく再配達を減らせるよう、消費者も無理のない範囲で協力したいものです。
「婦人公論.jp」編集部