与党の過半数維持が焦点、経済政策めぐり論戦へ-衆院選公示
(ブルームバーグ): 衆院選が15日公示され、27日の投開票に向けた選挙戦が始まった。自民、公明両党で引き続き過半数の議席を確保できるかが焦点だ。物価高への対応を含めた経済政策などを巡り、論戦が展開される。
自民党総裁の石破茂首相は15日午前、東日本大震災で被災した福島県いわき市で街頭演説を行い、「日本創生、そのための選挙だ」と主張した。選挙後の国会で「新たな経済対策を世に問いたい」として、財源となる2024年度補正予算について事業総額37兆円だった昨年度を「上回る」規模とする考えを明らかにした。
一方、立憲民主党の野田佳彦代表は、「政治とカネ」を巡る問題で自民党の公認を得られなかった前職が立候補する東京都八王子市を訪れた。「裏金は大きな争点だ」と立民候補への支持を訴えたが、経済政策への言及はなかった。13日に出演したNHKの番組では、所得に応じて給付や控除を行う「給付つき税額控除」の考えに基づき「消費税還付法案」を提出するとしていた。
自民党が政治資金収支報告書に不記載があった前職らの一部を非公認としたが、国民の間では派閥裏金事件への批判は根強い。仮に与党が大幅に議席を減少すれば政権は不安定化し、政策の停滞につながる。日本経済がデフレ脱却の岐路に立ち、物価高が国民生活を圧迫する中で、経済回復にも影響が出かねない。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストらは先週のリポートで、財政・金融政策で基本的に岸田文雄政権を踏襲している石破政権が揺らげば、「金利のある世界」で求められる財政規律の維持と、金融政策運営の正常化に向けた想定が揺らぎかねないと指摘。「金融市場においてボラティリティが高まる」との見方を示した。
共同通信社が12、13両日に行った世論調査では、何を重視して投票するかで景気・雇用・物価高対策が57.0%と最多だった。比例代表の投票先は自民党が26.4%で最も多く、立憲民主党が12.4%で続いた。投票先を決める際に派閥の裏金事件を「考慮する」としたのは、「ある程度」を含め計65.2%に上った。石破内閣の支持率は42.0%、不支持率は36.7%だった。