【130万円の壁】パート先の時給が50円上がるので今までどおり働いていたら「扶養のライン」を超えそうです。超えた場合、どのくらい負担が増えるのでしょうか?
パートタイマーとして働いていて、「扶養のライン」を超えないよう気を使っている方は多いのではないでしょうか。扶養のラインを超えた場合、ご自身で負担しなければならない費用が発生します。 本記事では、扶養のラインのうち、「社会保険」に関するラインを超えた場合、どのくらい負担が増えるのかについて解説します。具体的な金額も試算していますので、ぜひ最後までお読みください。
「扶養のライン」はどこか?
ここでいう「扶養のライン」とは、いわゆる「年収の壁」のことを指していると考えられます。年収の壁には「100万円の壁」「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」などがあります。 ここに挙げた年収の壁については、以下のとおりです。 ●100万円の壁:住民税の課税基準 ●103万円の壁:所得税の課税基準、配偶者控除・扶養控除の適用基準 ●130万円(106万円)の壁:社会保険への加入基準 このうち、今回扶養のラインとして考えたいのは、130万円(106万円)の壁です。年収が130万円(106万円)未満であれば、社会保険の被扶養者(健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者)となり、社会保険料を納める必要はありません。年収が130万円(106万円)以上になれば、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入し、社会保険料を納めなければなりません。 また、社会保険への加入は、原則として、年収130万円以上の方が対象です。しかし、近年の「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」により、年収106万円以上(所定内賃金が月額8万8000円以上)の方も社会保険の加入対象となる可能性があります。 なお、103万円の壁も扶養のラインとして考えられますが、本記事では解説を省略させていただきます。
「扶養のライン」を超えたらどのくらい負担が増えるのか?
先述のとおり、年収が130万円(106万円)以上になれば、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入し、社会保険料を納めなければなりません。問題は、「どのくらい負担が増えるのか」です。本章では、負担が最小となる年収130万円・106万円について「どのくらい負担が増えるのか」を試算していきます。 ■健康保険料はどのくらい負担するのか? 本記事では、全国健康保険協会の健康保険に加入するものと仮定し、保険料を試算します。保険料は「標準報酬月額」に「保険料率」を乗じて算出しますが、この保険料率は都道府県によって異なります。本記事では、令和6年10月時点の東京都の保険料率9.98%(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)を用いて保険料を算出します。なお、健康保険料は労使折半(会社と従業員で半分ずつ負担)のため、自己負担分の保険料率は4.99%となります。 標準報酬月額とは、報酬(給与)の区分のことであり、毎年4~6月の3ヶ月間に支払われた給与の平均額(報酬月額)から決定します。ここでは年収130万円のときの標準報酬月額を11万円(報酬月額10万8333円)、106万円のときの標準報酬月額を8万8000円(報酬月額8万8333円)と仮定します。 以上のことから健康保険料を計算すると、以下のようになります。 ●年収130万円のとき:月額5489円(=11万円×4.99%)、年額6万5868円 ●年収106万円のとき:月額4391円(=8万8000円×4.99%)、年額5万2692円 ■厚生年金保険料はどのくらい負担するのか? 厚生年金保険料は健康保険料と同様、「標準報酬月額」に「保険料率」を乗じて算出します。令和6年10月時点の厚生年金保険料の保険料率は18.3%であり、全国一律です。なお、厚生年金保険料も労使折半のため、自己負担分の保険料率は9.15%となります。 標準報酬月額は健康保険料の算出に用いた金額と共通なので、ここでも年収130万円のときの標準報酬月額を11万円、106万円のときの標準報酬月額を8万8000円と仮定します。 以上のことから厚生年金保険料を計算すると、以下のようになります。 ●年収130万円のとき:月額1万65円(=11万円×9.15%)、年額12万780円 ●年収106万円のとき:月額8052円(=8万8000円×9.15%)、年額9万6624円