【高校サッカー選手権】日大豊山、成立学園を下し4強入り 決勝弾のMF葛西由晏は思わず涙「西が丘のピッチに立ちたかったので」
10月26日、第103回全国高校サッカー選手権東京予選次予選のBブロック準々決勝4試合が清瀬内山Bで行われ、日大豊山が成立学園に1‐0で完封勝利を収め、ベスト4進出を決めた。 【フォトギャラリー】日大豊山 vs 成立学園 高円宮杯JFA U-18サッカーリーグ東京では成立学園が1部(T1)に、日大豊山は3部(T3)にそれぞれ所属。カテゴリーは成立学園が上位だが、必ずしもそういかないのがサッカーの醍醐味。その差を感じさせない、拮抗したゲームとなった。 静かな立ち上がりから、両チーム攻め入るなか、最初のビッグチャンスは日大豊山。前半17分、左サイドから突破したMF10葛西由晏(3年)がGK強襲のシュートを放つも、防がれた。直後のCKではクリアボールにMF13根本朝陽(2年)がミドルシュート。34分にはCKのキッカーを務めたDF2 瓜田周平(3年)が良質のクロスを供給するなど畳かけた。 一方、成立学園はMF10坂下大介(3年)を軸にカウンターからMF9小川叶翔(1年)、FW11古橋一晟(3年)が前線に飛び出すが、いま一歩、及ばなかった。 後半に入り、攻勢を強める日大豊山は後半20分、セットプレーからゴール中央DF5丸山修司(3年)がミドルシュート。これを成立学園DF陣が必死のクリアを見せた。守勢にまわる成立学園は後半21分、FW18大塚瑛太(3年)、FW20川﨑颯(1年)ら快足でならす選手を投入。これが効果てきめん。サイドチェンジ、スルーパスに反応したFW18大塚が裏のスペースへ執拗に相手陣内深く走り込み、チャンスメイク。試合の流れは一気に成立学園に傾いたかに見えたが押し切れなかった。 迎えた後半33分、日大豊山、ペナルティエリア付近でスルーパスを受けたMF10葛西が冷静に流し込んで先制ゴール。これが決勝点となった。 日大豊山・海老根航監督は「なかなか決定的なチャンスがないなか、一瞬のスキを突いてうまく得点につなげてくれました。ゴール前まで攻めこんでいましたが、決定的なチャンスはあのシーンくらいだったと思います。キチンとしっかり決めてくれました」とMF10葛西を称えた。 そのMF10葛西は「10番でキャプテンですしゲームを作らないといけません、また自分の仕事は点を決めることなので、決めたいなとずっと思っていました」と気持ちが通じた決勝ゴールとなった。 主将で10番、そして司令塔とあってかなりのプレッシャーを感じながらの80分間だったようだ。 「ずっと0-0で試合が進んだので早く決めなければと思っていました。相手のセットプレーが怖かったので、セットプレーになるたびに内心、ヒヤヒヤしていました」と気持ちを吐露した。 今回の勝利はMF10葛西の活躍だけではない。守備陣の踏ん張りを忘れてはいけない。海老根監督は「成立学園さんの前線が裏を狙うなか、ラインをキープして、オフサイドにかけたりと守備が集中してくれました。勇気をもってラインを設定してくれたのがよかったです」と勇気をもったオフサイドトラップが功を奏した。特に前半は5回、成功させるなど、スペースに走り込む成立学園の攻撃を無力化できたのが大きかった。 勝った日大豊山。舞台はいよいよ西が丘サッカー場に。「西が丘のピッチに立ちたかったので」とMF10葛西は試合直後、感極まって涙したという。日大豊山としては第99回全国高校サッカー選手権東京予選 2次予選Aブロック決勝 関東一戦(2020年11月14日 0-3)以来となる。 「(前回は)コロナ禍にあって、部員しかスタンドに入れませんでした。しかし今回は有観客。たくさんの人に見てもらえる、西が丘という素晴らしい舞台でサッカーができます。選手たちも楽しんで頑張ってほしいです」と抱負を語った海老沢監督。 決勝進出に向け、日大豊山は11月10日に堀越と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)