住電HSTケーブル、「低電力ロス品」事業化目指す。データセンター向けなど想定
建設用電線大手の住電HSTケーブル(社長・岡田久知氏)は電力ロスが小さいケーブルの事業化を目指している。建築物用の電線として一般的に用いられるCVTケーブルについて、電気導体の設計・製法を工夫。送電時に発生する電力ロスを、同社従来品と比較して約3%低減する製品となっている。CO2排出や電力コストの削減に寄与できる。データセンターや高層ビルの幹線など送電量が多い部分での効果が大きく、ニーズに期待している。 開発品の低ロスケーブルは電気導体の材料となる銅の素線を太くし、撚り合わせて圧縮。ケーブルの太さを変えずに導体内部の隙間を減らすことで、電気抵抗を3%低減している。これにより電力ロスを減らすことができる。また圧縮のしかたなどに工夫を凝らしているという。 親会社の住友電工が特許を出願済み。今後増加が見込まれるデータセンターなどに関する需要捕捉を念頭に開発が進められてきたもので、住電HSTケーブルが建設・電販の分野で販売する考えだ。現在はさまざまなニーズを探索しているという。 ケーブルの仕上外形は従来品と同じで、敷設に必要なスペースも同等。さらに同じ端子やスリーブを使用することができる。使用する銅の量は増えるものの、送電ロス低減によるエネルギー費用削減効果が期待できることから、トータルでのコストを抑えられる見通し。 建築物にメリットが出る電線となっており、住電HSTケーブルの顧客となる電気工事業者の提案力向上への寄与も期待できるという。 低ロスケーブルは東京ビッグサイトできょう31日まで開催されている第72回電設工業展で参考出展されている。