THE RAMPAGE・RIKU 赤裸々な言葉の真意ーーフォト&ワード集『RIKU365』で示した決意を語る
THE RAMPAGEが幻冬舎とタッグを組み、毎月書籍を発売するプロジェクト「GL-16~THE RAMPAGE BOOKS~」。その第6弾として、ボーカルRIKUのフォト&ワード集『RIKU365』が12月7日に刊行された。今年8月に30歳の節目を迎えたRIKUが、20代ラストから30歳にかけて制作したという本書の撮影テーマは、“RIKU/青山陸の二面性”。圧倒されるほどの肉体美やライブ中の勇ましい姿、可愛らしい愛犬との2ショットや地元・埼玉で撮影したプライベート感満載の笑顔など、じつに幅広い表情を見せている。また、写真の上には、赤裸々なメッセージが並ぶ。その言葉に込めた真意とは何か。「自分を満足させないことが原動力」だと語る向上心の塊・RIKUに、『RIKU365』の制作エピソードや、“これまでに乗り越えてきた壁”について話を聞いた。(斉藤碧) 【写真】THE RAMPAGE・RIKU、スエードJKTなどファッションセンス溢れるインタビュー取材時の最新近影カット ■写真を撮った後に自分の考えを文字にした ――THE RAMPAGEメンバーがさまざまな書籍を毎月刊行する「GL-16」において、RIKUさんがフォト&ワード集『RIKU365』を制作することになった経緯を教えてください。 RIKU:2021年に『Life is Beautiful』という写真集を出したんですが、それ以来、もし次にそういう機会があったらエッセイを出したいなと思ってたんですよね。それで、幻冬舎さんから「GL-16」のお話をいただいた時に、即決で「僕はこれで行きます」とお伝えしました。制作の流れとしては、まずロケーションを決めて、写真を撮るところから始まって。その後、テーマに沿って自分の考えを文字にして、それぞれの写真の上にレイアウトしていきました。 ――写真のロケ地はどういう基準で決めたんですか? RIKU:今回は、自分の中で「この作品はアーティストのRIKUと素の青山陸を出したい」っていうテーマがあったので、RIKUとして撮るならライブ会場やいつもトレーニングしているジムだし、「青山陸を出すなら、地元しかないでしょ」っていう感じでしたね。僕は埼玉県の朝霞市出身なんですが、馴染みのある土地で撮影したので、かなり素の自分が出ているんじゃないかなと思います。僕1人のカットでは、昔通っていた小学校や思い出の店にも行きましたし。親友との撮影では、親友に地元のバーに連れて行ってもらって、いつも通り2人で楽しく飲んできました(笑)。 ――愛犬ルークくんとの写真も、かなり“素の青山さん”が出てますね。 RIKU:これはもう、パパの顔をしてますね。ルーク、可愛いでしょ? 今はモヒカンがないんですけど、この撮影の時はトリミングしてもらってモヒカンにしたんですよ。 ――わっ、ホントだ。可愛い! ルークくん、写真慣れしてそうですね。 RIKU:全然人見知らない子だし、普段から僕も写真を撮ってるので、カメラを向けられても僕の膝上で落ち着いてました。巻末のプロフィール写真も一緒に撮ったんですけど、この時もかなりリラックスしてて。 ――ちなみに、ルークって聞くと、REAL RPG STAGE『ETERNAL』(RIKUを始めTHE RAMPAGEメンバーが多数出演した舞台)で岩谷翔吾さんが演じた役柄が浮かんじゃうんですけど、舞台の時、呼びづらくはなかったですか? RIKU:むしろ、いつも呼んでる名前だから違和感なかったです。翔吾もちょっと犬っぽい顔だし(笑)。でも、ウチの子を「ルーク」って呼ぶのは怒る時だけで、普段はルッちゃんって呼んでます。(ルークの写真を撫でながら、満面の笑みで)ルッちゃん、よしよし~!って。 ――あははは。 RIKU: ルークが息子になってから、人生が大きく変わりましたね。毎日笑顔で迎えてくれるから、「早く帰りたい!」って思うし、「この子のために稼ぎたい!」って思う。……ルークの話をしてたら、家に帰りたくなってきたなぁ~! ■実際はフラッフラな時も ――じゃあ、ルッちゃんパパの顔から、アーティストのRIKUさんに戻っていただいて(笑)。序盤のページには圧倒的な肉体美のカットがありますが、こちらの撮影はいかがでしたか? RIKU:裸のカットは一番最初に撮ったんです。一番きつい撮影は最初にやっておかないと大変だと思って。撮影日が決まった2ヵ月後くらいに撮影だったんですけど、その2ヵ月間はかなり自分を追い込みました。身体作りで一番きつかったのは、仕上げの水抜きかな。(写真を見せながら)こんなにカッコつけた顔をしてますけど、実際はフラッフラですからね(笑)。 ――そこまで追い込まれるとわかっていても、RIKU=肉体美が必須だろ、と? RIKU:いやいや、スタッフさん達に「脱げ」って言われたんですよ!……っていう冗談はさておき。僕が憧れてきた人達はどういう人達だったかな?って思い返してみたら、心身ともに強くて、仕上がっている方ばかりだったので、自分も誰かにとって、そういう指針になれたらいいなと思いながら作りました。あと、RAVERS(ファン)のみなさんからも「筋肉を見たい」っていう声をいただくので、「言ったな~?みんなが引くくらいの写真を撮っちゃうよ?」と(笑顔)。過去一、気合いの入った肉体で撮影しましたね。 ――身体作りは相当大変だったと思いますが、その肉体美があったからこそ、RIKUさん発信の力強い言葉たちが、より説得力を増して伝わってきました。と同時に、いろんな意味でかなり赤裸々な内容だと感じましたが、改めて読み返した感想はいかがでしょうか。 RIKU:裸の写真もそうだし、地元での撮影もそうですけど、行き切ってますよね。行き切った結果、細かいことはどうでもよくなってる自分がいます(笑)。言葉に関しては、今回書いた言葉って、内心ずっと思ってたことなんですよ。あえて言わなかっただけで。でも今年30歳になったし、たまには素直な自分の気持ちを吐き出してもいいかなと思って。良いことも、ちょっと汚いことも、RAVERSの方々が知りたくないかもしれないことも、この機会に全部言ってみました。 ■衝撃的な1ページ目の言葉 ――それにしても、1ページ目から驚きました。……これはコロナ禍でのことですか? RIKU:ううん、もっと前です(苦笑)。当時は、スマホの検索履歴が他人に見せられないような言葉で埋まってました。 ――さすがに、ここまで曝け出すのは勇気がいったと思いますが、なぜこの経験を明かそうと? RIKU:ライブやリリイベをすると、初めて会いに来てくれたお客さんや、いつも応援してくれているRAVERSの方々が素敵な笑顔を見せてくれますけど。みなさんが普段何をやってるかっていうと、お仕事や学校、バイトとかで、楽しいことばかりじゃないと思うんです。時には辛いこともあって、それを忘れたいから僕らを頼ってくれてる部分もあると思う。僕はそんな1人1人の痛みに、みなさんの365日に寄り添いたいんですよね。だから、今でこそ「夢を叶えてすごいね」って言ってもらえるような立場になったけど、僕も1人の人間として、弱いところも情けないところもあるし、「同じ気持ちになったことがあるよ」ってことを伝えたかった。そうすることで、僕の存在をより身近に感じてもらえたらいいなと思って、冒頭にこのエピソードを載せました。 ――読者の背中を押したいとか、引っ張り上げたい、みたいな感覚はありましたか? RIKU:いえ、そういう感覚はないですね。だって『RIKU365』に書いたことは、普段自分に言い聞かせてることばかりだから。ちょっと強気なことを言ってるところもあるじゃないですか? 「誰かを頼るのはいい。でも甘えるな。」とか。それって、「よく聞け」って読者に言ってるわけじゃなくて、「RIKU、お前言ったな? じゃあ、ちゃんとやれよ」っていうニュアンスなんです(笑)。なので、「この言葉に励まされました」って言ってもらえるのは光栄ですけど、「こういうふうに受け取ってね」とは思っていなくて。誰よりも僕自身が、この言葉達に日々奮い立たせてもらってます。 ――RIKUさんの“弱いところ”と言えば、デビュー当時から定期的にインタビューさせていただいていますが、確か2019年頃までは、歌に関して少し自信なさそうな発言をする場面があったなと記憶しています。それは尽きない向上心の表れでもあったと思いますが、今、『RIKU365』で強気なメッセージを発信できるようになったのは、何かキッカケがあったのでしょうか。 RIKU:(しばらく考え込んで)ここ2~3年、毎年毎年、「最大のピンチだ!」って思うような壁にぶち当たってたからかな? THE RAMPAGEとしての活動もありつつ、個人でも舞台などに出演する中で、「これ無理じゃね!? でも、やらなきゃダメだ!」みたいな場面に度々直面していたので。自ずと「ブーブー言ってないで、なんとかやるしかないじゃん!だって、その日は必ずやってくるんだから!」っていうモードに切り替わった気がします。もしかしたら、その時に少し強くなれたのかもしれません。 ――上手く妥協できるようになった、みたいなこと? RIKU:それも少し違うんですよね。そもそも僕、モチベーション的には120点を目指してやってるんですよ。 ――100点以上の結果を出すために、それ以上の努力をするんですね。 RIKU:そうそう。それでもし60点の結果しか出せないなら、今の自分の実力が60点ってことだから、次回は150点を目指す勢いで努力しろよっていう考え方で。以前は60点しか出せない自分に納得できなくて、悔しい気持ちを表に出してたんです。でも今は、「120点分の努力をやったら60点出せるんだな」っていう情報を得た事実を前向きに捉えて、60点をとれるだけの努力をした自分を認めてあげられるから。たとえ点数が低かろうが、自分を誇りに思えるようになりました。 ――そういったRIKUさん自身の気持ちの変化もありつつ、仲間の存在もRIKUさんの人生に大きな影響を与えているんでしょうね。THE RAMPAGEについて語っている章には、どんな想いを込めましたか? RIKU:このページの写真は、リハーサルの時とか、ライブ当日の流れの中でパシャパシャ撮っていただきましたね。バックステージの写真なんかは一見素っぽいけど、これは青山陸ではなく、あくまでもRIKU。そこにTHE RAMPAGEへの想いや、メンバー15人へのメッセージを載せました。 ――このページを始め、『RIKU365』は文字のレイアウトが独特ですが、そこにもRIKUさんの意見が反映されているのでしょうか。 RIKU:ベースとなるレイアウトは、スタッフさん達がデザイナーさんと相談して決めてくださったんですけど、僕も「ここはこういう字体で」とか「こういう雰囲気で」とか、ところどころ口を出させていただきました。言い方が悪いかもしれないですが、僕としては『RIKU365』は文章がメインのつもりで作ったんです。なので、小さな文字で書いた言葉も含めて、隅々まで見落とさないように読んでもらえたら嬉しいですね。タイトル通り、365個のメッセージを載せたので。 ――なるほど、その“365”でもあるんですね。この本に綴られている言葉は、インタビュアーさんと話す中で引き出された言葉なんですか? RIKU:写真と一緒に掲載されているものはそうですね。でも中盤のDictionaryのページは、幻冬舎の方が挙げてくださったキーワードに対して、直感で答えたものが並んでます。これも普段から考えていることを形にしただけなので、キャッチボールみたいな感じで即答しましたね。しかも、他のページと同様、僕が言ったことをそのままの口調で書いてくださっているので、直接僕が話しかけているようなニュアンスで届くんじゃないかなと思います。そこも、この本のミソです。 ■宇宙とは? RIKUの意外な返答 ――Dictionaryで1つ気になるのがあったんですけど。“宇宙”とは?って聞かれて、いきなりサウナの話をし始める人はRIKUさんくらいでは?(笑) RIKU:“サウナにハマる理由がこれ”って言われても、「は?」って思いますよね(笑)。でも、バカだと思われてもいいと思って、そのまま書きました。“おしゃれ”に対しての“誰かのためじゃなく、自己満足でいいよね”も、それに近いかな。配信とかをしてると、よく「髪を切って」って言われるんですけど、僕は「自分がおしゃれだな、好きだなと思うことをしてればいいんじゃない?」って思うし。たとえ、あなたがそう感じていたとしても、わざわざ僕に言わなくて良くない?って思っちゃう。そういう経緯があって、“SNS”については“もっといい場所にしたい”と答えました。 ――“一途”というキーワードについては“すべては歌のため”と答えていますが、先ほどもおっしゃったように、RIKUさんは近年、舞台俳優としても活躍しています。役者の仕事には、どのようなモチベーションで臨んでいますか? RIKU:ラジオも役者の仕事も、すべてボーカリストとしてプラスになると信じてやっていますし、芝居を経験してからは、THE RAMPAGEとして歌う時に表現力が豊かになったなと実感しています。1つの言葉をいろんなニュアンスで表現できるようになったなと。その一方で、檀上に上がる時とライブをやる時とでは、まるで違う緊張感や面白さがあるので。舞台のお仕事をいただいた時は、それはそれで全力投球して、他の演者さん達と協力しながら良い作品を作り上げたいですし、たくさんのことを吸収したいなと思っています。 ――THE RAMPAGEのボーカルRIKUとして歌う時と、舞台のキャラクターとして言葉を発する時とでは、言葉に対する向き合い方や落とし込み方が変わってくるのかなと。 RIKU:そう、それが舞台の大変なところなんですよね。歌も、歌詞に込められた想いを自分なりに理解して言葉にする作業は必要だけど、舞台はもっと複雑で難しい。例えば、相手のキャラクターから何かを言われた時に、自分のキャラが怒るとするじゃないですか。でも、僕自身はそこで怒らないタイプから、「なんでこう思うんだろう?それって、どういう感覚だ?」って考えないといけないんです。それで、演出家さんや共演者さんにめっちゃ相談するんですけど、本番になってやっと、その気持ちが理解できることもあって……。心から気持ちを理解していない状態でセリフを言わなきゃいけない稽古期間は、正直しんどいですね。心が動いてないのに、セリフだから言ってる、みたいなズレが精神的にきつい。自分ではない誰かになって表現していくって、すごく体力を使うんだなって、ストレートの舞台やミュージカルを経験したことで知りました。 ――今年11月まで主演を務めていた『前田慶次 かぶき旅 STAGE&LIVE~肥後の虎・加藤清正編~』の前田慶次などは、ハマり役のように思いましたが……? RIKU:そう言っていただくことも多いんですけど、「いやいや!」と、「そんなことはないのよ!」と声を大にして言いたいですね(笑)。玄武(戦国時代活劇『HiGH&LOW THE 戦国』で演じた上宮地玄武)も苦戦しました。でも、自分ではない何者かになろうとすることで「自分の中にもこういう感情があったんだ」って気づいたりとか、新たな自分や表現に出会うことも多いので。それが役者の仕事の美しいところかなと思います。しかも、THE RAMPAGEはボーカル全員(RIKU、川村壱馬、吉野北人)が役者をやってますからね。だからこそ、THE RAMPAGEはいろいろな楽曲を歌えるんだろうなって思いますし、苦手なことを補い合える最高の相方がいて、僕は恵まれてるなって思います。 ――では最後に、『RIKU365』を手に取った方へメッセージをお願いします。 RIKU:まずは、この本を手に取ってくれてありがとうございます。すごく生意気なことも綴っておりますが(笑)、僕が感じていること全てを曝け出したつもりなので、きっと今まで知らなかった僕の姿があると思います。時には驚かせてしまうこともあるかもしれない。でも、それもすべて僕を形成しているピースなので、それゆえの“今のRIKU”なんだなって思ってもらえたらありがたいですし、あなたの心の支えの一部になれたら嬉しいです。これから先も大変なことはあるだろうけど、一緒に生きてきましょう。
斉藤碧