トランプ氏がスコット・ベッセント氏を財務長官に指名:誰もトランプを止められないイエスマン揃いの布陣に
トランプ経済政策に大きなリスク
安全保障、外交、経済などの各分野で、トランプ氏は、「米国第一主義」を支持し、自身に強く忠誠心を誓うイエスマンのみを主要ポストにあてがった。トランプ氏の政策方針を修正し、暴走に歯止めをかける人物はいないことになる。 トランプ氏が掲げる一律追加関税、移民の規制強化は、公約通りに導入されれば、米国経済を後退に陥らせる打撃となるだろう。さらに、イーロン・マスク氏らが主導する政府効率化省(DOGE)は、政府支出を大幅に削減し、また連邦職員を大量に削減することで、短期的には米国経済に深刻な悪影響をもたらす可能性がある(コラム「マスク氏が主導する政府効率化省(DOGE)の課題」、2024年11月22日)。 トランプ氏の経済政策が抱えるこうしたリスクが理解されれば、金融市場で進むトランプトレードは逆回転をはじめ、ドル安、株安に転じる可能性がある。 (参考資料) "Trump Picks Scott Bessent as Treasury Secretary(トランプ氏、スコット・ベッセント氏を財務長官に指名)", Wall Street Journal, November 23, 2024 「米成長へ減税・規制緩和 高関税、世界にリスク 新政権人事固まる 財務長官にベッセント氏」、2024年11月24日、日本経済新聞 「米新政権、歯止め役不在 「米国第一」の忠臣、経済も外交・安保も」、2024年11月24日、日本経済新聞 「トランプ氏、米財務長官に投資家のベセント氏 減税・緩和を重視」、2024年11月24日、産経新聞 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
木内 登英