韓国大統領への弾劾訴追案は「可決が規定路線」 浅羽祐樹・同志社大教授
■捜査混乱も尹氏逮捕間近か
一方、検察、警察、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)といった捜査機関は、それぞれ刑法の内乱罪などで捜査を競い合っている。
韓国の法律上、内乱罪の捜査権は警察にある。ただ、警察は非常戒厳で国会封鎖などに関与したため、非常戒厳に関わる捜査に当たるのは不適切との指摘もある。検察には内乱罪の捜査権がないが、尹氏の職権乱用罪を名分に関連事件として内乱罪でも捜査に乗り出している。大統領や高官らに対する捜査機関である公捜処は、尹氏の出国禁止を法務省に申請して存在感を示そうとしたが、人員が少なく捜査は難しい。
朴槿恵(パク・クネ)元大統領は友人の国政介入事件で弾劾訴追・罷免後に逮捕、起訴された。尹氏の場合、内乱罪は大統領の不訴追特権の例外であるため、弾劾とは別に法的責任が直ちに問われている。今は捜査の重複による混乱もみられるが、いずれ収斂し尹氏の逮捕へと向かうだろう。(聞き手 石川有紀)