72歳で急逝した父。生前に「財産を全てあげる」と言われていました。預金は全額「私の口座」に移しても問題ないでしょうか?
銀行に預けている父の貯金を自分の口座に移すのは問題ない?
結論、銀行に預けている父の貯金を自分の口座へ移動させられるかは、以下の2点を確認する必要があります。 ・公的に認められた遺言書があるか ・ほかに法定相続人(今回は母)がいるか 遺言書がある場合、相続先が指定されていれば問題はないと考えられるでしょう。対して遺言書がない場合は、法定相続に従うもしくは遺産分割協議書で配分を決める必要があるため、勝手に全額引き出すのは難しいと考えられます。 ただし、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を活用することで、遺産分割が終了する前でも、当面の生活費や葬儀費用の支払いなどの目的で一定額の引き出しが可能です。
銀行に預けている父の貯金を口座に移すことで起こりうるトラブル
銀行に預けている父の貯金を口座に移すことで起こりうるトラブルとして考えられるのは、相続放棄ができなくなることがあげられるでしょう。勝手にお金を引き出してしまうと、単純承認とみなされ、すべての遺産を引き継ぐことになる可能性があります。 遺産が預貯金だけであれば問題はないかもしれませんが、仮に借金があった場合は、それらもすべて相続人に引き継がれてしまいます。もちろん、この場合は相続を放棄できなくなるでしょう。 このことから、自分の口座へ移動すること自体は問題ないと考えられるものの、あまり推奨されない行為である点には十分注意しましょう。
銀行に預けている父の貯金を自分の口座へ移動する行為は特に問題ないと考えられる
銀行に預けている父の貯金を自分の口座へ移動する行為自体は、特に問題のない行為と考えられるでしょう。今回のケースであれば、ほかに相続人がいない場合、公的に認められる遺言書があれば遺言相続に分類されることから、トラブルにつながるリスクも低いと想定できます。 ただし、相続放棄ができなくなるリスクについても理解しておきましょう。仮に借金やそのほかの負債があっても、父の口座から自分の口座へお金を移動した時点で単純承認と判断されてしまい、すべての負債を背負うこととなる可能性があります。 出典 政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部