初の「無塩無糖」懐石料理 ~料理長の努力で実現~
◇旅館経営者が関心
おりはし旅館で筆者の分だけ無塩無糖を提供してもらい1年経過した時に、高校の同級生で同旅館の経営者の鎌田善政氏が、筆者の料理だけ異なっていることに気付きました。鎌田夫妻が「無塩無糖」の懐石料理に興味を示したため、筆者夫婦と試食しました。夫妻の感想は「味気ないと思っていたが、予想外においしいね」「おなかにもたれないね」と、評判は上々でした。鎌田氏が「高血圧や糖尿病の予防に良いのであれば、今後、おりはし旅館で提供したい」と言いました。筆者は「他にない初めての料理なので、まず医学的な面も含め専門家に試食し、評価してもらってから考えたらどうだろうか」と提案しました。
◇「無塩無糖サミット」を開催
「無塩無糖」料理を評価してもらうために、18年11月、筆者たちは「無塩無糖サミットinおりはし」を開催しました。3泊4日で合計8食を試すという企画です。「本態性高血圧の元凶は食塩であり、原因療法は無塩食だけだ」と考えている荒川規矩男(福岡大学名誉教授)先生ご夫妻、「食塩無添加実践4年」の上島先生ご夫妻におりはし旅館に来ていただきました。他には鎌田夫妻、中尾夫婦、それにメディアの記者と栄養価分析を担当する管理栄養士の中尾矢央子さんの10人が参加しました。 感想を紹介します。「おいしかった」「常識を覆す。これはいける」「食材の色が損なわれず、きれいだ」「喉が渇かない」「おなかに優しい」…。好評でした。 「食材選びや調理に手間がかかるのではありませんか?」 参加者の質問に料理長はこう答えました。 「いつもより特別に新鮮な食材を使ったわけでもありません。それに下味をつけない分、普段よりも時間はかかりませんでした。調理時間は短いが、その代わり、メニュー作成に頭を使いました」 一般的に、旅館における朝食は塩分が多いようです。例えば、みそ汁、塩魚、漬物、かまぼこ、塩と砂糖の入った卵焼き、ハム、ソーセージなど加工食品も多い。加工食品が多いと塩分が多いだけでなく、腎臓に負担となるリンも多くなります。 和食の朝食を「無塩無糖」で作るとなると、苦労があると思います。同旅館の料理長の愛情を感じます。