サボテンを平気で食べまくれるし、時速60キロでも疾走できるヒトコブラクダ
水を飲まずに160キロも歩けるだけじゃない、アフリカ北部・アジア西南部・オーストラリアなどで飼育
アラビアラクダはヒトコブラクダとして知られ、こぶが1つしかないが、それを最大限に活用している。こぶの中には約35キロもの脂肪を蓄えることができ、エサによる栄養補給ができなくなると、その脂肪を水やエネルギーに分解することができる。このこぶのおかげで、ラクダは水を飲まずに約160キロもの距離を移動できる。 【動画】サボテンを食べまくるラクダ、なぜ平気? ラクダは気温49度の灼熱の砂漠でもほとんど汗をかかないため、1度水分を補給すれば長期間蓄えておくことができる。冬には、砂漠の植物の水分だけで数週間は生きることができる。しかし、1度水を飲みだすとスポンジのように大量の水を吸い上げる。喉が渇いている場合は13分で110リットルもの水を飲むこともある。 ラクダは砂漠で生きていくため、そのほかの適応能力も備えている。鼻孔は砂嵐のときに備えて閉じられるようになっており、目を守るための太い眉毛と2列に生えた長いまつ毛がある。大きく硬い唇があるおかげで、サボテンなど乾燥してトゲのある砂漠の植物を食むことができる。ごつごつした岩場や変化しやすい砂場を歩くのに適した大きく分厚い指球を持つ。 ヒトコブラクダはおよそ3500年もの間人間に飼いならされ、運搬用の動物として重宝されてきた。重い荷物を1日に40キロ先まで運ぶことができる。ある文化圏では、飼育しているラクダの数でその人の財力を測ることもある。中東には「ラクダレース」が古くからあり、最高時速はおよそ60キロだ。 現在、ラクダのほとんどが家畜化されている。アフリカ北部、アジア西南部で飼育されているほか、最近ではオーストラリアでも飼育されるようになった。
ナショナル ジオグラフィック 日本版編集部