メイクのオン/オフで人間関係をスイッチ。モナコの富豪が教えてくれた「ご機嫌な私」を育む秘訣
「相手を思う装い」が心地よい時間をつくる
カフェのウエイターも、素敵なワンピースをまとった彼女に対しては愛想良く振る舞っていましたが、ワンマイルウェアに毛が生えたような服を着ている私には、あきらかに素っ気ない態度でした。 誤解しないでほしいのは、そのウエイターはけっして服装や人種で接客に差を付けたわけではないということです。自分が働く店に素敵な装いで来てくれた女性に対し、最高のサービスでもてなしたい。そんな気持ちが、ほとんど無意識に働いているのだと感じました。 その気持ちは、私にもわかる気がします。ビジネスの場で人とお会いするとき、素敵な装いでお相手が現れると、私に敬意を払う装いをして来てくださったことに感じ入ることがあるからです。 だからそのカフェの一件以来、私は女友だちとのお茶であっても、「相手を思う装い」を大切にするようにしています。「相手を思う装い」といっても、高級品を身につけたり、豪華なドレスをまとったりする必要はありません。自分が素敵だと思えるお気に入りの洋服を着て、日常よりちょっぴりおしゃれをして、笑顔で友だちとの待ち合わせに出かけるだけでいいのです。 私なんかがおしゃれして行ったら、友だちに笑われちゃう──。そうした無用な心配をして「いつもの着慣れた普段着」にばかり手を伸ばすことは、「自分を見捨てる」ことにつながります。おしゃれした自分を、友だちに「今日は素敵ね」と褒めてもらう。店員さんにちょっとだけ丁寧に扱ってもらう。相手を大切に思うことで、自分も大切に扱われる。誰にでも簡単に、そんな経験ができるのですから。
帰国するたびに驚く、日本人女性の美意識の高さ
日本に帰国している最中にいつも感心するのは、「日本の女性たちはいつでも身ぎれいにしている」ということです。これから仕事に向かうであろう人、お店で買い物をしている人、カフェで働いている店員さんなど……。目に映る女性のほとんどがメイクに気を遣い、ヘアケアやヘアセット、人によってはネイルまで美しく整えています。 日本人女性一人ひとりの美意識の高さには、いつもあらためて感動してしまいます。 一方、モナコの女性たちはというと、普段はさほどメイクには気合が入っていません。世界じゅうの大富豪が集まる国なのに意外と思われるかもしれませんが、彼女たちの日常メイクは、地中海の厳しい紫外線を防ぐための日焼け止め、これだけです。昼間の女性たちは、そんな、メイクとも言えないスキンケアのみで終わらせていることがほとんどなのです。