「もっと売れて…」切に願う崖っぷち芸人
「もっと売れて欲しい」と切に願うお笑い芸人が何組かいる。年齢が20代なら、まだ何かをきっかけにブレークする可能性もあるだろう。しかし、そこそこキャリアを積みながらも、なかなか知名度や人気が上がらない、崖っぷち芸人を見ていると「なんとか売れてくれ」と応援したくなるものだ。 【写真】新コンビを組んだかどちゃん 男女の漫才コンビ「オーサカクレオパトラ」。結成は2021年4月だが、りえちゃん43歳、克信36歳と、年齢的には中堅からベテランになりつつある。漫才では今風のおしゃれさはかけらもなく、コテコテの昔テイスト。いかにも「大阪のおばちゃん」らしいりえちゃんと、くいだおれ人形に似た雰囲気の克信。どこか懐かしいような話術と動きは夫婦漫才にも見えて、思わず笑ってしまう。 22年のNHK上方漫才コンテスト本戦に進出し、そのまま売れっ子になるかと思われたが、なかなか簡単にはいかない。8月31日には「第2回単独ライブ 君こそがクレオパトラーだ!」が大阪・よしもと漫才劇場で行われる。ここが正念場。昨年12月5日の第1回単独ライブは満席にこそならなかったが、熱心なファンが多数駆けつけた。 YouTubeでは毎月の給料を発表。上がったといって喜び、下がったといってがっくり。芸人のリアルなふところ事情を公開している。りえちゃんは32歳でNSC(吉本総合芸能学院)入学。それまではリサイクルショップの仕事をしていた。芸人になりたいという夢を捨てきれず「人生一度きり、好きなことをやるしかない!」と、お笑いの世界に踏み込んだ。ここからの逆襲に期待したい。 もう1組、今年6月24日に結成したばかりの男女コンビ「跳び蹴りサワー」。今年1月に11年間続いた「アーネスト」を解散したかどちゃん(旧芸名は門野=43)が、後輩の女芸人なっさん(35)を新パートナーに迎えた。解散によって漫才劇場メンバーの座を失った。 愛されキャラで漫才おたく。後輩芸人からもいじられるかどちゃんは、若手芸人のピラミッドの一番下になった。メンバーでないと劇場の出番ももらえず、その分収入にも響く(前述のオーサカクレオパトラは漫才劇場のメンバー)。芸人としての収入がなければ、アルバイトして生活費を稼ぐのが若手芸人の宿命だ。夢はあっても、現実は厳しい。 「どえらい出遅れてのリスタートとなりますが、大まくりできるよう精進しますので、何卒よろしくお願いします」と、SNSで意気込みを明かしたかどちゃん。相方なっさんも「芸歴長いのに売れてない2人で結成しましたが、必ず売れるために頑張ります!」。 新しいスタートは、7月7日のUP TO YOU、10日、15日のMEKKEMON(いずれも新世界ZAZAハウス)、28日のノーキャーキャー芸人(難波サザンシアター)。「人生何歳からでもやり直せることを証明したい」とSNSでつぶやいたかどちゃんは今春、19歳年下の女性と結婚したばかり。ここからてっぺん目指してはい上がってほしい。【三宅敏】 (ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)