フィルダーも本番で変わった!阪神ロサリオは伝説助っ人の再来となれるか
フィルダーはマイナー時代にはオフシーズンにビル掃除のバイトをしたことがあるほどのハングリー精神にあふれていて“なんでも吸収してやる”という柔軟な向上心があった。スコアラー室にも、積極的に足を運び、日本式の配球を読むバッティングをシーズン途中から取り入れて他球団のマークを踏み越えていった。 ロサリオも、韓国で2年間プレー。2年目には外角の変化球に対応して、三振数が90から61に減り、打率.339、37本塁打、111打点、出塁率.414の数字を残した。韓国では、3割打者が多く出ていることからもわかるように、投手のレベルはエース級以外は低く、日本の投手レベルと同等には論じることはできないが、異文化の野球への免疫力があり、コーチの話に耳を傾けるという柔軟性もある。 背景はフィルダーよりも恵まれており、性格面や姿勢には共通点がある。 元巨人の評論家、鈴木尚広氏もロサリオのフィルダー型変身説を主張する一人だ。 「ロサリオのパワーでは、ホームランバッターではないと思うが、キャンプでは、最初に衝撃的なデビューを見せている。一度、調子を落としたが、本番では、また上がるのではないか。軸足の右足が動くことが批判されているが、それは彼流のタイミングのとり方で癖のようなもの。バッティングへ大きな影響を与えているわけではない。韓国野球も経験しているし、開幕して慣れれば十分に対応できると見ている」 阪神の“ダメ外国人”は腐るほど見てきた。もう名前さえ思い出せない選手もいる。外国人の交渉担当者といつも議論になる話でもあるが、投手に関しては、少し見えてきた“日本での成功条件”が、打者に関しては、まだ何も確立されていない。近年、ドミニカ、キューバ出身の“カリビアン”に失敗例が少ないとされているくらいだ。韓国経由でタイロン・ウッズは成功したが、ロッテに来たヤマイコ・ナバーロはダメだった。 セイバーメトリクス理論もメジャーのデータが日本野球にはあてはまらないことも多い。 しかし、阪神には、バース、フィルダーと言った“伝説の助っ人”を輩出してきた歴史がある。そもそもロサリオ任せになるようなチーム作りをしてきたフロントに問題があるのかもしれないが、優勝を狙う宿命を背負ったチームだけに、今は、ベテラン、生え抜きの若手、外国人を融合させる姿こそ理想だろう。 ロサリオがフィルダーのように本番で開眼することを待つとしよう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)