100面以上の障壁画を一堂に展示 開創1150年記念 特別展『旧嵯峨御所 大覚寺』東京国立博物館で
平安時代初期に嵯峨天皇により離宮・嵯峨院が造営され、その後、皇女・正子内親王の願いにより寺に改められて開創された京都・嵯峨の大覚寺。2026年に開創1150年の記念の年を迎えるのに先立ち、その優れた寺宝の数々を一挙に公開する特別展が、2025年1月21日(火)から3月16日(日)まで、上野の東京国立博物館で開催される。 【全ての画像】重要文化財《牡丹図》(部分) ほか広報用画像(全13枚) 歴史ある大覚寺のなかでも、寺内の中央に位置する宸殿(しんでん)は、1620年に後水尾天皇に入内した徳川秀忠の娘・和子(まさこ)の女御御所をのちに移築したものと伝えられている。内部を飾る襖絵や障子絵などの障壁画は、安土桃山から江戸時代を代表する画家・狩野山楽(1559-1635)の代表作として重要文化財に指定されている傑作だ。同展の大きな見どころは、総長約22メートルに及ぶ山楽の《牡丹図》全18面が、寺外で初めて一挙公開されること。そして、大覚寺に伝わる約240面におよぶ障壁画のうち、なんと123面(前期100面、後期102面)が一堂に並ぶ華やかな空間も見どころとなっている。 平安時代後期の仏像の最高傑作のひとつである明円(みょうえん)作の《五大明王像》が、5体そろって初めて東京にお出ましになるなど、密教美術の名品が公開される一方、大覚寺中興の祖である後宇多法皇をはじめとして、同寺にゆかりの深い歴代天皇の直筆の書の紹介もある。 また今回話題となるのは、清和源氏に代々継承された重要文化財の「兄弟刀」がそろって出品されること。大覚寺に伝わる「薄緑〈膝丸〉」の伝承をもつ太刀と、京都・北野天満宮に伝わる「鬼切丸〈髭切〉」の伝承をもつ太刀が、京都以外では初めて同一ケース内に並んで展示されるのだ。平安時代中期に清和源氏の祖である源経基の嫡男・源満仲が勅宣により天下守護の太刀を求め、異国からきた刀工が八幡神の加護を受けてつくりあげたと伝えられるこの兄弟刀は、所持者を勝利に導く存在。「薄緑〈膝丸〉」は、源満仲から頼光、義経らに、また「鬼切丸〈髭切〉」は満仲から頼朝らに継承されたという。大覚寺が離宮から寺院になった際に菅原道真が尽力したことかから、大覚寺と北野天満宮との間に長年にわたる交流があり、今回、この兄弟刀の展示が特別に実現したのだという。 <開催概要> 開創1150年記念 特別展『旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-』 会期:2025年1月21日(火)~3月16日(日) ※会期中展示替えあり 会場:東京国立博物館 平成館