センバツ・札幌第一 第2部/下 勝利へのチーム作り 指導受け準備万端 基礎体力や技術、細やかに /北海道
<第91回選抜高校野球> 期末試験が終わった2月27日、札幌第一の選手たちは本格的な練習を再開した。センバツでの初勝利を目指し、トレーナーやコーチのサポートを受け、準備は万端だ。 「なまった体を動かそう」。菊池雄人監督の一声から練習がスタート。投手と打者に分かれ、投手はトレーナーの斉川義章さん(48)のメニューに取り組んだ。 札幌市内でスポーツジムを経営する斉川さんは、約20年前から第一のトレーナーを務めている。現在は投手を担当。2週間に1度、2時間程度指導している。 まず、2週間前と今日の体重を1人ずつ発表させ、増減の理由を説明させた。斉川さんは「体重が減るのは筋肉量が減ったと考えてもいい」と、自己管理を徹底することを教え込む。けがにつながらないよう重りは使用せず、体幹、肩甲骨、足など自重で負荷をかけるメニューにした。斉川さんは「一高の投手陣は良いものを持っている。あせらず、基礎体力の向上に取り組んでほしい」と話す。 畠山和明投手(2年)は「斉川さんのトレーニングはきついが、ピッチングのどの部分に効くものなのか具体的に教えてくれるので理解して取り組める」といい、「フォームが安定し、球速も伸びてきた」と成果を実感している。 捕手には社会人野球経験者の林己喜男コーチ(64)がついている。捕手だった林さんは、2年前のセンバツ出場直前からコーチを務め、週に2、3回、第一の練習に通う。林さんは「野球に携わるのは30年ぶりだった。私自身も現代の野球を学びながら指導しているので楽しい」と話す。 この日は、捕手の基本の動きというスローイングを中心に細かく指導し、感覚を取り戻させた。高校から捕手を始め、現在は正捕手の村田凜選手(2年)は、林さんの指導でここまで成長できたと感謝する。「苦手だった低めの球の捕球は全て林さんから学んだ。試合後に配球のアドバイスをしてくれることもあり、初心者だった僕に優しく教えてくださった」 大平裕人主将は「さまざまな経験を積まれ、指導してくれるお二人を始め、多くの方々が僕たちを支えてくれている」。選手たちは親身になってサポートしてくれる人たちの思いを胸に、本番に向けて飛び立つ。【土谷純一】