突然勤め先の業績が悪化し「倒産」の可能性が。考えたくないですが、現実になった場合どのようなセーフティーネットがあるのでしょうか?
資本主義の枠組みにおける企業は、常に倒産の危機にさらされており、従業員も常に安泰ではありません。勤務先企業の業績が悪化して倒産した場合、従業員はどのような経済的サポートが得られるのでしょうか。 この記事では、倒産の際に利用できる、労働者健康安全機構による未払い賃金の立て替え払い制度と失業保険の特定受給資格者という2つのセーフティーネットを紹介していきます。
未払い賃金の立て替え払い制度を利用する
企業が経済的に立ち行かなくなり、事業の継続が不可能と判断された際に、従業員への賃金の未払いが発生することがあります。 そんなときに、賃金収入を確保する一つの手段が、労働者健康安全機構が提供する未払い賃金の立て替えです。これは、企業が破産等の法的手続きに入ったり、または事業を再開する見通しが立たなかったりする場合に、労働者が受け取れなかった給与を一部建て替えて支払う制度です。 ただし、この制度を利用するためには以下のようないくつかの条件があります。 ●勤務期間 労災保険の適用を受ける企業に1年以上勤め、破産等の申し立てがあった日からさかのぼって6ヶ月以内に退職した従業員であること。 ●未払い賃金額 退職時に2万円以上の未払い賃金があることが必要です。しかし、退職手当や定期賃金以外の未払い賃金、例えば賞与などは、この支援の対象外となります。 ●立て替え金額 未払い賃金総額の80%に限られており、年齢によって上限額が異なります。具体的には、45歳以上の労働者の場合、最大で296万円まで、30歳から45歳未満では176万円、30歳未満では88万円が上限とされています。 この制度を利用する流れは、まず会社の破産等の状況に応じた証明書を取得し、その後労働者健康安全機構に必要書類を提出します。審査を通過すれば、指定された口座に前払い金が入金されます。 例えば、50歳の労働者が所属していた企業が破産し、未払い賃金として400万円を請求していた場合、この制度を通じて最大で296万円の立て替えを受けることが可能です。この制度を利用すれば、新たな職を探す間の経済的な不安を軽減できるでしょう。