商社、洋上風力の次は水素・アンモニアに照準-次世代エネ開発に注力
供給ルート確保へ
値差支援では、水素の量に換算して最低でも年間1000トンを供給するといった複数の要件があり、供給ルートの確保に向けた動きも本格化している。
三菱商は出光興産とともにエクソンモービルが米国で進める水素・アンモニア製造プロジェクトに参画し、運搬や受け入れ拠点の運用を共同で検討すると10月に発表した。三菱商は愛媛県今治市の波方地区、出光は山口県周南市でそれぞれアンモニア供給網の整備に向けたプロジェクトに参加しており、各エリアへの供給を見込む。
三井物産はアラブ首長国連邦(UAE)ルワイスでアンモニア製造プラントの建設に着手している。従来より排出量が少ないアンモニアを27年から年間100万トン製造するほか、30年までに製造工程で排出されるCO2を回収・貯留した「ブルーアンモニア」の製造開始も目指す。伊藤忠が参画する北九州市のプロジェクトは輸入に加え、廃プラスチック由来の水素も製造・供給するなどの特徴がある。
普及に向けて前進するものの、水素は大量輸送が難しいなどの技術的な課題がある。一方で、アンモニアはこれまでも肥料などの目的で流通し、運搬や貯蔵の技術が確立されている。
商社業界を担当する大和証券の永野雅幸シニアアナリストは「製造や輸送のキャパシティーを増やす必要はあるが、当面はアンモニアの拡大がコスト面や運搬面から現実的だ」との見方を示した。
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Koh Yoshida