茶葉から合皮「Chakara」開発 ほのかに香り、カテキン効果で消臭抗菌 共和レザー、製茶工場と協力
自動車内装材メーカーの共和レザーは、掛川市の製茶工場で通常廃棄される茶葉粉を活用し、消臭、抗菌効果のある合成皮革「Chakara(チャカラ)」を開発し、バッグや小物などにして販売している。一般消費者向けの自社ブランド「Sobagni(ソバニ)」事業の一環。10月にメーカーの技術力と地場の廃棄材の循環製品が評価され、グッドデザイン賞を受賞した。 抹茶などの生産工程で発生し、通常は廃棄せざるを得ない粉末をウレタン樹脂に混ぜ込んで中間層とし、表皮とコットン製の裏布で挟んだ。茶粉末の退色が表皮に響かないよう、中間層を黒っぽい濃色に着色した。ほのかな茶の香りが残り、検査機関から茶カテキンによる消臭、抗菌効果も認められ、高い機能性を有するという。 主に電子商取引(EC)サイトで販売する。製品はバッグや名刺入れ、ペンケースなど7種類でカラーは8パターンを用意した。 動物由来の原料を使わない「ヴィーガン」に配慮した合成皮革の開発は、2022年に長野県の町や企業などと連携し、リンゴの絞りかすを使った合成皮革に続く第2弾。原料の50%以上を植物由来にし、軽量や耐久性の高さなど、自動車用シートの開発ノウハウの一部を製品に落とし込んだ。今回は地場の素材を使い、輸送エネルギー減少を図った。環境配慮型のノベルティグッズを求める企業の相談も増えているという。 自動車内装の合成皮革表皮材で国内シェアトップの共和レザーは、長期ビジョンにサーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現を掲げ、ソバニ事業は実証的な取り組みに位置づけている。ソバニ事業部の中村美由紀企画部長は「機能性を生かした(育児用品を入れる)マザーズバッグなど新たな商品の開発と拡充につなげたい」と話す。
静岡新聞社