【全日本トライアル】RTLエレクトリックデビューウィン!-「フジガス」藤波貴久が21年ぶりに全日本を制覇-
「世界のフジガス」斬れ味健在!
ホンダがRTLエレクトリックの全日本トライアル参戦を発表してから2日後、全日本トライアル選手権・第6戦が和歌山・湯浅トライアルパークで開催された。大会には前戦・北海道大会の倍近くとなる1274人のファンが詰めかけ、注目度の高さをうかがわせた。 今シーズン初参戦ということで、ランキングを持たない藤波は、全ライダーのうち第1走者でコースイン。第1走者は、他のライダーの走りや走行ラインを見られないため、トライアルでは圧倒的に不利なスタート順だ。 しかし藤波は、その不利をものともせずに最初のセクションを、ノーミスである減点「0」=クリーンで通過すると、セクション4までで3つのクリーン、セクション2で減点1のみという最高のスタート。セクション4までは、ここまでランキングトップの小川友幸(ホンダ:4ストローク)が減点7、氏川政哉(ヤマハ:電動TY-E)が減点11という滑り出しで、10のセクションの1ラップ目を首位で通過。2番手に2点差の小川、3番手の黒山健一(ヤマハ:電動TY-E)は8点差だった。 2ラップ目にはさらに藤波が調子を上げ、最大減点「5」は、1ラップ目に3セクションであったのに対し、2ラップ目は1セクションのみ。減点24だった1ラップ目に対し、2ラップ目は減点14と大きく減らし、クリーンは4セクション。2番手の黒山は7点差、3番手の氏川は17点差で、セクションをふたつ通過するスペシャルセクションを待たずに、藤波の優勝が決まった試合となった。 スペシャルセクションは、藤波、小川、氏川が2セクションとも減点5だったのに対し、黒山が1セクション目をクリーンと意地を見せ、総合2位を獲得。3位にはホンダの小川が入り、ポイントランキングでは黒山→小川→氏川というTOP3となった。 この結果、全日本トライアル初参戦の藤波はランキング12位にランクイン。次戦スポーツランド菅生大会の結果によっては、最終戦シティトライアルジャパンへの出場が可能となる。 ■優勝:藤波貴久選手 コメント 「21年ぶりの全日本トライアルで、勝たなきゃいけないプレッシャーの中、短期間できっちり勝てるマシンに仕上げてくれた開発陣のおかげで、大事な、そして歴史的な戦いで勝つことができました。1ラップ目の後半やSSで(減点5の)ミスがあって、ライダーの出来としては情けない部分も思いもありますが、まずは勝ててよかった。次の菅生大会まで2週間、さらにマシンを仕上げて全力で勝利に向かいます。久しぶりの全日本で、ファンの皆さんと再会できて、とてもありがたく、幸せです。皆さんの応援に後押ししてもらって勝てました。ありがとうございました」 ■2位:黒山健一 選手 コメント 「僕の中では最低限の仕事ができた、というレベル。ただ、今回デビューの藤波選手に負けてしまったので、非常に悔しく、モヤモヤした結果になってしまいました。それでも2位になれて、これはこれで良し。次の菅生大会では優勝したいと思っていますので、引き続き応援をよろしくお願いします」 参戦発表会の席では「今のバイクの出来は70~80%。新しい乗り物だけに、伸びしろはものすごく大きいと思います」と語っていた藤波。菅生大会の結果、最終戦・大阪大会に出場できるのか、そしてヤマハTY-Eとの再戦が楽しみになって来た。
中村浩史