少ないチャンスをしっかり物にした帝京が2回戦へ 神戸弘陵はゴールが遠く
夏の高校日本一の座を争う令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)が27日に開幕。福島県楢葉町のJヴィレッジで行なわれた神戸弘陵と帝京のカードは、後半4分に奪ったFW13土屋裕豊(3年)のゴールを守り切った帝京が1-0で勝利した。 【フォトギャラリー】神戸弘陵 vs 帝京 打ったシュートは帝京が1本に対し、神戸弘陵が4本。4本のうち1本は右ポストを叩いたもので、GKと1対1の場面もあった。「相手はFKからのシュート1本で、それが決まった。うちもシュートは少なくて4本打ってゼロだった。4本のうち1つは決めないといけない。点が取れないと勝てない」。そう嘆くのは神戸弘陵の谷純一監督で、少ないチャンスをしっかり物にした帝京が2回戦へと駒を進めた。 シュート本数の少なさからも分かる通り、帝京にとって決して満足のいく試合展開とは言えなかった。「自分たちは距離感が特徴だと思っている。独特の近さを保ちながら、ワンタッチ、ツータッチで剥がしていくのが帝京のサッカー」(DF20田所莉旺、3年)だが、前半は判断良く前線からのプレスと構えた守備を使い分けてきて神戸弘陵に手を焼き、主通りにボールを動かせない。 ボールロストからテンポよく自陣まで持ち込まれる場面が見られ、3分にはサイドからの長いパスが帝京陣内に入るとFW9白石蒼悟(2年)がタイミングよくゴール前に侵入。フリーでシュートを放ったが、懸命に並走した帝京DFがブロックし、CKに持ち込んだ。 24分にはDF2阪上聖恩(3年)の縦パスから、FW11大垣颯楽(3年)が右サイドを突破。中に入れたボールをJ1湘南内定のFW10石橋瀬凪(3年)が左足で合わせたが、シュートはポストに阻まれた。30分には右スローを受けたMF6梅原良弥(2年)がゴール前にクロス。白石がヘディングで合わせたが、GK1大橋藍(3年)が防ぎ、0-0で試合を折り返した。 帝京にとって我慢の時間が続いたが、無失点で終えたのは大きな収穫。後半戦に向けてハーフタイムに修正を図る。「ハーフタイムにお互いの思っていることを話し合えたのが良かった。焦れないで前半をゼロで帰ってきたことに対する評価と後半に向けて反省すべき点をチームとしてすり合わせができた」(田所)。 神戸弘陵が嫌がっている背後のアクションを増やすことで、相手がラインを下げれば空いた手前のスペースを使ってパスを繋ぐ。そうしたプランを描いて挑んだ後半早々、試合は動く。開始直後の後半4分に田所が前線にロングフィードを送ると受けたFW宮本周征(2年)が倒され、FKを獲得する。キッカーに名乗り出たのは土屋。全国大会出場をかけた都予選の準決勝でも点を決めていた男が再び、直接ゴールネットを揺らし、均衡を崩した。 先制したものの試合の流れを完全に引き寄せることはできない。アタッカー陣を替えて、反撃に出た神戸弘陵に押し込まれる時間が再び続く。23分には石橋の中央突破から、相手ゴール前の中央でFKを獲得。阪上が直接ゴールを狙ったが、大橋の好セーブで難を逃れた。34分には右CKのこぼれ球をゴール前で粘り強く繋いだが、帝京は落ち着いた守りでシュートまで持ち込ませない。 「疲れてきてクロスの質やゴール前への入り方が単調になっていた。そこの質が上がれば、もう少しシュート数も増えていたと思う」。谷監督の言葉通り、最後の精度を欠いた神戸弘陵に助けられながらも帝京が勝利を引き寄せた。 (文・写真=森田将義)