夏王者がインカレ敗退危機の2点ビハインドも「取り返す力は充分にある」、阪南大は7分間3発大逆転でGL突破に望み…リード守れず連敗喫した中京大は涙
[12.16 インカレ決勝ラウンド第2節 阪南大 3-2 中京大 J-GREEN堺メインフィールド] 【写真】「プリンセスすぎる」「激かわ」なでしこ清水梨紗がディズニーへ 第73回全日本大学サッカー選手権(インカレ)は16日に決勝ラウンドのグループリーグ第2節を行った。J-GREEN堺メインフィールドで行われた第2試合は、阪南大(関西1)が中京大(東海2)に3-2で勝利。前半15分までに2点ビハインドとなったが、同28分から7分間で3得点を奪って大逆転。初戦黒星で連敗だとグループリーグ敗退の可能性も強まったが、準々決勝進出に望みをつないだ。 両チームともに初戦を落としており、負ければグループリーグ敗退が大きく近づく大一番。阪南大は北條貴紀コーチが「ローテーションを組んでいるつもりはなく、ギラついている奴をチョイスしている」と語る通り、先発を5人変更した。4-1-4-1の布陣を敷き、GKは市川泰壱(4年=藤枝明誠高)、4バックは左からDF渡邉吏海(4年=岡山U-18)、DF野瀬翔也(4年=東邦高)、DF鈴木梨(4年=仙台Y)、DF金子光汰(3年=市立船橋高)。アンカーにMF小田奏(4年=新潟U-18)が立ち、インサイドハーフは左がMF櫻井文陽(3年=阪南大高)、右がMF松本楓悟(3年=阪南大高)。サイドハーフは左がMF松井匠(3年=高知高)、右がMF齋藤遼太(4年=長崎U-18/長崎内定)。トップはFW金本毅騎(2年=C大阪U-18)が入った。 中京大の先発変更は1人のみ。リーグ戦チーム最多13得点FW中嶋晃成(2年=中部大一高)は、自身も得点を挙げた7日のプレーオフ・東海大戦(○2-2/PK3-1)で負傷し、グループリーグ初戦・新潟医療福祉大戦(●1-2)も欠場。2試合ぶりに復帰を果たした。4-4-2の布陣で、GKは山口畝良(4年=愛知学院愛知高/岐阜内定)、4バックは左からDF深澤壯太(4年=大阪桐蔭高/富山内定)、DF田上涼太(3年=興國高)、DF前田寛太(4年=履正社高)、DF畔柳頼生(4年=東山高)。2ボランチはMF那須健一(3年=賢明学院高)とMF押富大輝(4年=神戸U-18)。サイドハーフは左がMF増崎康清(1年=鳥栖U-18)、右がMF武藤寛(3年=市立船橋高/26年愛媛内定)。2トップにFW有働夢叶(4年=興國高/大分内定)と中嶋が並んだ。 序盤から立て続けに得点を奪ったのは中京大だった。前半6分、左サイドライン際でFKを得ると、キッカーはリーグ戦チーム最多7アシストの押富。右足キックを蹴り込むと、PA内から中嶋が頭で流し込んだ。15分には左サイドから増崎がクロス。PA左でボールを収めた中嶋が一度キックフェイントを入れながら右足を振り抜き、チーム2点目を挙げた。 しかし、総理大臣杯と関西学生リーグという2冠を持つ阪南大はここから猛反撃。「点を取られても取り返す力は充分にある」(北條コーチ)。前半28分に松本のボール奪取からパスを受けた金本がカウンターを仕留めて1点を返す。さらに1分後には渡邉が左サイドから左足クロスを上げ、松本が左足ダイレクトで同点ゴール。35分には渡邉が右足でクロスを上げ、松本がヘディングシュートで試合をひっくり返した。 前半を3-2で折り返すと、後半は阪南大がしたたかに試合を運ぶ。終盤には冷静に時間を使い切り、そのまま試合終了。勝ち点3を手にした阪南大はグループ2位に浮上した。 2失点からの大逆転劇に、北條コーチは「あっさり勝ちたいんですけど……」と苦笑。「中京さんも一緒やと思うけど、負けたら終わりやった」と勝利の喜びを噛み締めた。2得点を挙げた松本を含め、先発入りした選手が躍動。北條コーチも「うちは誰が出ても仕事をする。人を変えれば変えるたびにチームが強くなっていくのが今年の阪南大」と胸を張った。 3位の桐蔭横浜大と勝ち点、得失点差でも並ぶ。まずは18日の最終節で勝利がほしいところだが、その対戦相手でもある新潟医療福祉大は、今年夏の総理大臣杯決勝で破った因縁の相手でもある。北條コーチは「総理大臣杯のときは運よく勝てた。夏の結果は夏の結果で終わっていること」と気を引き締め、中1日での戦いを見据えていた。 一方、2連敗の中京大はグループ4位。最終節で桐横大に勝利すれば、他会場の結果次第でグループ突破を可能性は残っている。しかし他力で望みに懸ける状況に、選手たちは試合後涙を流していた。吉井直人監督は「最高の入りをしてくれた中で、このレベルの大会はひとつのミスですべてを持っていかれる」と肩を落とす。「この体験はまた次に変えてやっていくしかない」と力を込めた。 とはいえ、まだ勝ち上がる可能性はゼロではない。吉井監督は「みんな仲が良くて思い入れもすごく強いんだと思う」と涙を流した選手たちをねぎらう。「もう一回しっかり回復して、モチベーションを整えて、いい状態で挑みたい」と気持ちを切り替えていた。