思春期のウソにどう対応する?治療的里親で多くの思春期の子たちと接してきた土井高徳さんに聞く「許していいウソ」と「許してはいけないウソ」
ウソをつく罪悪感に子どもが悩んでいる場合も。親が味方になり許す寛大さも時には大切です
しかも、誰だって叱られた瞬間は頭の中がパニックになるものです。頭の中の情報が整理できないから、つい口から出任せのウソをついてしまうことだってよくあります。ですから、ウソを察してもすぐに叱らず、子ども自身に考える時間を与えてあげてはいかがでしょう。 ◾️覚えておいてほしい「ハングリー=アングリー」 たとえば、おなかがすいているときには、子どもを叱らないようにするとか。「ハングリー=アングリー」と言われるほど、空腹時には人間は怒りっぽくなるもの。「この子、ウソをついてるわね」と感じても、おなかがすいていたら話し合いは後回しに。いちど食事を摂るなどしておなかを満たして、ゆったりとした気持ちになれば、ウソをつくほうもつかれたほうもムキにならず、穏やかに話し合いができるというものです。 ◾️許せるウソなら「大丈夫、よく話してくれたね」とほめて許す ウソをつくことは決してほめられた行為とはいえません。けれども、ウソを許せる寛容さもときには大事です。 たとえば、自分の子どもがどうしてもウソをつかざるを得なかったような状況にあったとします。その子はもしかしたら、誰よりも罪悪感に悩まされているかもしれません。そういうときに、自分の味方だと思っていた親から追い討ちをかけられるように責められたら、どう感じるでしょう。 ウソをついたことがバレて親に叱られている時、子どもが精神的に萎縮してしまい「自分の素直な気持ちを表現できなくなってるな」と感じたら、それ以上詰問せず、そっとしておいてあげるべきです。改めてゆっくりと話を聞く機会を設けて、許せるウソなら「大丈夫、よく話してくれたね」とほめて許してあげましょう。 親は子どもにとって「安心の港」です。親の理解と賞賛はいくつになっても子どもにとって最大の報酬なのです。親がわかってくれた、ほめてくれた。その手ごたえが大きな喜びとなり、不安がいっぱいで荒んでいた思春期に子の心も安定し、次第に生活態度も落ち着きを取り戻したというケースは山ほどあります。不安が取り除かれたら子ども自身も気づかなかった「ありがとう」という親への感謝の気持ちが、そして「ごめんなさい」という素直な言葉も出てくるんですよ。