地球へ落下した小惑星「2024 BX1」(Sar2736)を落下前に観測成功! 観測史上8例目
分かりやすい事例としては、2013年2月15日にロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石が挙げられるでしょう。その明るさと被害からよく知られている現象ですが、落下の予測はされていませんでした。元となった天体は直径約17mの大きさがあったと考えられていますが、落下後の分析でも観測記録は見つかっていませんでした。隕石となる天体としてはこれほど稀なサイズであっても見逃されていたことが、いかに観測が困難であるかを示しています。 このような背景がある中で、地球に衝突することが予測された小惑星の発見は過去に7例ありました。最初の記録は2008年10月6日6時39分に発見された後、翌7日2時26分に地球に衝突した「2008 TC3」です。その後はしばらく観測記録がなかったものの、2014年から2023年までの10年間で「2014 AA」「2018 LA」「2019 MO」「2022 EB5」「2022 WJ1」「2023 CX1」の6例が報告されています (※2) 。観測頻度が上がっている理由として、観測体制や精度の向上、情報伝達速度の改善、軌道解析など数値計算の高速化といった、様々な背景事情が考えられます。 ※2…観測データが不十分であるために小惑星として正式な登録がされていない「A106fgF」と「DT19E01」、落下の約10分前に撮影されていたものの事後解析によって判明した「CNEOS 20200918」の3事例を除きます。
■観測史上8例目、衝突前の小惑星「2024 BX1」を発見
そして今回で8番目の事例となる「2024 BX1」は、2024年1月20日21時48分に最初の観測記録が報告されました。2024 BX1は発見された時点で地球から約11万8000kmまで接近していたと考えられます。これは地球と月との距離の3分の1以下です。なお、この時点では、小惑星などの天体を管轄するIAU(国際天文学連合)の関連機関「小惑星センター」のNEOCP(地球近傍天体確認ページ / Near Earth Object Confirmation Page)で付与された暫定名である「Sar2736」の名称で呼ばれており、正式名称となる2024 BX1が与えられたのは衝突後のことです。 2024 BX1を初めて捉えたのはハンガリーのピスケーシュテテー山観測所で、Krisztián Sárneczky氏によってでした。Sárneczky氏はこれまでも地球に衝突する直前の小惑星を発見しており、2024 BX1の発見は、5番目の事例である「2022 EB5」と7番目の事例である「2023 CX1」に次いで3例目となります。