「僕ら世代で島を変えたい」 ペットの飼育環境改善へ 徳之島高の生徒が課題解決に挑戦
2021年の世界自然遺産登録から3年が過ぎた鹿児島県徳之島。今年12月には徳之島世界遺産センター=徳之島町花徳=の運用開始も予定されており、観光振興と情報発信の拠点としての活用が期待される。一方で、希少野生動植物の保護や外来生物対策など、今後も遺産地域であり続けるための課題も次々と浮上。犬や猫などペットの飼育に関する問題もその一つだ。徳之島ならではの事情が絡んだ課題の解決を目指し、高校生が「僕らの世代から島を変えたい」と立ち上がった。 徳之島では山中に入った犬や猫がアマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミなどの希少野生動物を捕食、捕殺する問題が発生している。野生化した犬や猫はノイヌやノネコと称してペットと区別しているが、ノイヌやノネコも、もとをたどればペット。さらに、子牛の生産が盛んな徳之島では番犬やネズミ除けとして犬や猫を牛小屋で飼う風潮があり、野良犬、野良猫が増える原因になっているとの指摘もある。 徳之島3町では「飼い猫の適正な飼養および管理に関する条例」を制定。▽マイクロチップ装着▽室内飼養▽飼養困難な際は譲渡する―の義務化とともに、▽飼い猫以外へのみだりな餌やり▽多頭飼育(5頭以上)―を禁止しているが周知徹底されていないのが現状だ。 県立徳之島高校の森太陽さん(普通科2年)は「ペットは人間のための道具ではない。家族として迎え、適正飼育、終生飼養が当たり前な島に変えよう」と訴える。森さんら生徒11人のグループは「徳之島のペット飼育環境の改善」をテーマに据えて探究活動に取り組んでいる。 グループは①児童向け啓発紙芝居の制作②アンケートシステム運用③調査・取材-の3班に分かれて活動中。既に校内の生徒を対象としたアンケート調査は実施しており、今後、調査対象を島民に拡大し、年内で結果をまとめる予定。 島内の動物愛護団体に協力し街頭キャンペーンに参加した経験がある森さんは「僕自身がそうだったように、徳之島の現状を知らない人が多い。ペット問題は難題で考え方も人それぞれだが、まずは島の現状を知ることが第一歩」と話し、「時間はかかるが、僕たち若い世代が変われば島は変わる。高校生が島のために何ができるか挑戦したい。徳之島の現状を把握するためにもできるだけ多くの人に参加してほしい」とアンケート調査への協力を呼び掛けた。森さんらグループのアンケート調査は徳之島の島民が対象。