双子で高校バスケ日本一 そこから8年、地元・福岡のクラブを最高峰の舞台へ
頂点に立った経験への手応えは、意外なほどに謙虚だった。 「プロの舞台は高校と大きく変わる。優勝したからといって、何もかも通用するということではないので…」 ■福岡市出身、重冨周希ってこんな人【関連】 Bリーグ2部(B2)のライジングゼファー福岡の重冨周希(25)は慎重に言葉を選んだ。 福岡第一高の3年だった2016年、全国高校選抜優勝大会(ウインターカップ。以下、WC)を制し、日本一になった。司令塔として主将を務め、双子の兄・友希とともに、チームの中心で活躍した。 重冨は、3日から開幕するB2のプレーオフ(PO)に挑む。地元・福岡のチームを強くしたい―。その思いを胸に。 ◇ ◇ 福岡第一高は、重冨の卒業後も日本代表で活躍する河村勇輝(横浜BC)らの後輩たちがWCを制し、トップレベルの選手を輩出してきた。県内には日本一の座を争うライバルの福岡大大濠高という強豪もある。小、中学生の競技レベルも高い。「福岡はバスケ王国と呼ばれるくらい、全国でも有名。プロもレベルが高いところでやっていかないといけない」。福岡がB1を目指す意義を実感している。 プロを目指す進路で専大からライジングゼファー福岡を選んだ重冨のように、故郷でプロ生活を目指す選手がいた場合、福岡がB1にいることが大きな〝アドバンテージ〟になる可能性がある。「みんなB1でプレーしたいと思っているはず。福岡が上のカテゴリーにいることが若い選手のモチベーションになる」と気を引き締めた。
■今季の活躍は
重冨は今季で加入から3年目。年を重ねるごとに出番を増やし、今季は53試合に出場。西地区2位で6年ぶりのPOに勝ち進んだチームの躍進に貢献した。 待ち受けるPOは2戦先勝のトーナメント形式で、決勝に進めばB1に昇格する。自身初のPOに挑むにあたり、重冨が強調したのがWCの経験だ。「WCもトーナメントで、負けたら終わりの戦いだった。そういう試合を経験しているのは大きい」。シーズンとは異なる一発勝負の難しさは理解している。 後進のため、応援してくれるブースターのために福岡をB1へ、という思いも当然だが、自らに向けるモチベーションも高い。 「自分にとっても、B1はプレーしたい場所。ここで経験できるなら、それがベストなのは間違いない。今の福岡は強いので」 激戦を勝ち抜くすべを知る25歳は、新たな歴史を刻む決意だ。(松田達也)
西日本新聞社