ウイリアムズ、サインツJr.へのラブコール実る。フェラーリ離脱決定前からアプローチ
カルロス・サインツJr.は来年、ウイリアムズに移籍することが決まった。サインツJr.のフェラーリ離脱が決まる前から、アプローチをしていたという。 【ギャラリー】”爆発”する個性……史上最もワイルドなデザインのF1マシントップ50 今季開幕前にルイス・ハミルトンがメルセデスからフェラーリに移籍することが明らかになって以降、サインツJr.の去就は数ヵ月にわたって話題の的となってきた。サインツJr.にはウイリアムズやザウバー/アウディ、アルピーヌからのオファーがあった一方、レッドブルやメルセデスのシートが空く可能性もあったためだ。 そして30日(月)、サインツJr.の契約が発表され、少なくとも今後2年間はウイリアムズでレースをすることが決まった。 ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、サインツJr.が獲得候補の中でナンバー1だと隠していなかったが、フェラーリ離脱が決まる前からアプローチが始まっていたのだという。 火曜日にメディアの電話取材に応じたボウルズ代表は「会話は何ヵ月も前からあった」と説明した。 「この数週間は、普段のドライバーとのディスカッションよりも少し公の場での話が多かったので、その一部を知ってもらえたと思う。でも、実は昨年のアブダビからそれが始まっているんだ」 当時、サインツJr.は2025年以降もフェラーリにとどまるだろうと多くの者が予想しており、ドライバー市場には出ていなかった。 「昨年アブダビで話をしたドライバーは1人だけで、それはカルロスだったんだ」 「私は”スプレッドベッド(先の状況を予想して賭けること)”をしなかった。違いを生み出せると思ったドライバー1人だけに賭けたんだ」 ボウルズ代表は、昨年コンストラクターズランキング7位に入ったウイリアムズなら、サインツJr.にフェラーリから移籍するよう説得するのに十分な進歩を遂げられると考えていた。 しかし実際のところ、その期待はウイリアムズがマシンの重量オーバーで出遅れたことで裏切られている。 「透明性を保つために言うが、私はマシンにウエイトは積めないだろうと考えていた。重量の数値は言わないけどね。もし我々が毎週末ポイントを獲得できるようなポジションにいたとして、フェラーリが苦境に立たされていたのなら、彼にとっては(残留は)もっと難しい選択だっただろうと思う。でもそうなるかは分からなかった」 「私としては、可能な限り賢明な方法で自分たちのポジションを位置づけることだった。ポイント圏内にいれば、そうでない場合よりも多くの電話がかかってくる」 2月にハミルトンのフェラーリ移籍が発表されたとき、ボウルズはサインツJr.獲得の可能性がかなり高まったことを知った。 ハミルトンのことを事前に知っていたかと尋ねられ、ボウルズは「まったく知らなかったよ。私にとっては衝撃だった」と答えた。 「ルイスのことが発表された時、まったく知らなかった。ルイスがメルセデスに骨を埋めるつもりであることは知っていた。私も(メルセデスの)一員だったから、その契約の結末も知っている。でも(ハミルトンのフェラーリ移籍が発表された)あの日、私は椅子から転げ落ちたよ」 ここ数週間、ボウルズ代表はバルテリ・ボッタスやエステバン・オコンなど他のドライバーたちとも話し合いを持ったが、それはサインツJr.との契約が決裂する恐れがあったからだと彼は言う。 「私は誰にも電話も連絡もしなかった」とボウルズ代表は付け加えた。 「実際、私が連絡を取ったのは、プログラムの後半になってカルロスが我々に加わらない可能性がはっきりしたときだけだった」 「その時点で、私はそれをカバーするために複数のバスケットに卵を入れるようにしなければならなかった。でも、彼は私がいつそんなことをしたのか知っているし、それはとても遅い段階だったんだ」 サインツJr.がウイリアムズと契約する上で、レッドブルやメルセデスのシートが空いた場合に移籍できるようにするための契約解除条項を契約に盛り込むことを望んでいたと噂されたが、ボウルズ代表はこれを否定した。 解除条項に関する一部メディアの憶測について尋ねられたボウルズ代表は、次のように答えた。 「契約の中身を知っているのは、世界に10人しかいない」 「そして私が保証するのは、この電話会議に出席している誰一人として、そしてこの会社の誰一人として……今私の周りにいる人たちでさえも、その契約内容の中身を知っている人はいないということだ。カルロス陣営は知っているし、私もその中身を知っている」 「インターネットで読んだことはすべて憶測だ。(契約は)25年と26年、そしてそれ以降も続くというメッセージは私自身からではなく、カルロスから発せられたものだ。カルロスは、あなた方全員に、そして世界中に、彼がコミットしていること、そしてここが彼が望んでいる場所であることをはっきりと伝えたかったのだ」
Jonathan Noble