男子校の日常には下ネタが多すぎる? 中高一貫の男子校生活をリアルに描いた人気エッセイ漫画『男子校の生態』【書評】
エッセイの魅力のひとつに、紹介されるエピソードによって自分の記憶を振り返ることができる点がある。初恋について描かれたエッセイを読めば自分の初恋相手にぼんやり思いをはせるし、仕事の話が書かれていれば新入社員当時の苦い思い出がうっすら蘇ったりもする。目にしたエピソードの解像度が高ければ高いほど、するするっと記憶が蘇ってくる気がする。 そう、エッセイを読むと外付けハードディスクを検索するように忘れていた記憶にアクセスすることができる。だからこそ、男子校エッセイを名乗る以上は彼らの6年間の中に幾度となく登場したであろう下ネタを外すことはできなかっただろうし、それによって思い出の扉をノックされた男子校経験者も多かったはず。男子校=下ネタの図式は安易に成立しないが、作中の彼らの日常の中に下ネタは確かにあったのだ。 作品の品位を損なうどころか、至る所にちりばめられた下ネタこそが本作を「経験者が語る男子校エッセイ」として輝かせていることは間違いないだろう。
エロネタ? 下ネタ? と訝しがらずに、どうかページをめくってみてほしい。めくるめく男子校生たちの「生態」に、ぎょっとしたりニヤッとしたり、感情が忙しくなることうけあいだ。もちろん、爽やか青春エピソードも満載なのでご安心を! 文=ネゴト/ あまみん