いわき信組(福島)、不正は組織ぐるみ 取引先から落胆の声
いわき信用組合の旧経営陣による10億円超の迂回(うかい)融資など組織ぐるみの不正が明るみとなった15日、信組と取引のある市内の経営者からは落胆と再発防止を求める声が相次いだ。 「担当者は親身になって相談に乗ってくれ、顧客を大切にしてくれる印象。不正をしていたと知りがっかり」と話すのは、30年以上にわたって信組から融資を受けているといういわき市で不動産業を営む60代男性だ。信組は今後、弁護士らによる第三者委員会で調査を進める方針で、男性は「二度とこのようなことがないように再発防止に努めてほしい」と要望。それまでは「融資の申し込みについて慎重にならざるを得ない」とした。 同市の自動車販売業の50代男性は融資を受けて5年以上となる。「担当者は金融関係に関する知識が乏しい私に親切丁寧に融資や資金繰りについて助言してくれた」と感謝する一方、「信組が不正をするようには思わなかった」と複雑な心境を明かす。「地域にとってなくては困る存在なので反省し、しかるべき対応をしてほしい」と述べた。
14年、職員が4500万円横領
本多洋八理事長は15日にいわき市で開かれた会見で、4500万円の横領とその隠蔽(いんぺい)や現金の20万円の着服についても説明した。 横領と隠蔽を巡っては、2014年7月に信組の店舗に勤務していた当時係長の元職員が、店舗の取引記録の帳簿から4500万円余りを自身の管理する預金口座に資金を移動させて着服。当時の経営陣は問題を把握していたが、地域の信頼を裏切ることになると考えて隠蔽を判断したことを明らかにした。 本多理事長によると、元職員は金をギャンブルの資金に充てていた。一部は元職員の親族から返済されたが、残りは信組からの融資として補填(ほてん)されたという。
09年には職員が着服、理事長「内部統制発揮されず」
09年6月ごろには、当時次長の元職員が金庫内にあった現金を着服したが、その日のうちに返却されたことから当時の支店長が本部へ報告していなかったという。 本多理事長は約1時間にわたり神妙な面持ちで報道陣の質問に応じた。報道陣から当時、内部から不祥事を疑う意見がなかったかどうかを問われると、本多理事長は「正常な内部統制が発揮されていなかったことになる」と述べるにとどめた。
福島民友新聞社