監督が語る『ライオン・キング:ムファサ』「自分の道は、自ら決めなければならない」
この映画をつくる間、ずっと小さな子どもたちのことが脳裏にありました
繰り返すが本作は『ライオン・キング』の前日譚ではない。本作で描かれるのは、祈祷師ラフィキが語り、孫キアラが聞いた“ムファサの物語”だ。だから、この物語には省略はある。抽象的な部分もある。ラフィキが語りたいのはムファサの詳細な過去ではなく、ムファサが冒険を通して得た価値観=信念だからだ。 そして、その信念は“語り”を通じて、孫のキアラに受け継がれる。この物語の矢印は過去には向かっていない、どこまでも未来=新しい世代に向かっている。 「キアラがこの映画の“ハート”を担っていることは間違いありません。この映画をつくる間、ずっと小さな子どもたちのことが脳裏にありました。思い返せば、『ライオン・キング』ではシンバが父を失うという強烈な体験をするわけですよね。この映画ではそのことをちゃんと踏まえた上で、ラフィキはキアラと観客のために、亡くなってしまった偉大な王ムファサの神話を解体していきます。 この映画を通して、キアラは物語を通じてムファサのことを知り、その信念を知り、そして学ぶわけです。コミュニティからさまざまなことを学びつつ、いつかは自分で自分の価値観を、自分の生きる道を決めていかなければならない、と」 物語は世代を超えていく。時間を超えて物語に込められた想いや信念、教え、熱い気持ちが伝わっていく。ムファサの想いは息子シンバに伝わり、本作で物語を通じてシンバの子キアラに伝わる。 そのドラマの豊かさ、壮大さ、最後まで息もつかせぬ冒険ドラマの面白さは、今後も世代を超えて多くの観客を魅了することになるだろう。 『ライオン・キング:ムファサ』 公開中 (C)2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.