関学大が開幕6連勝で4年連続61度目の優勝 負傷交代の兄に代わって1年生QB星野太吾が奮闘
関西学生アメリカンフットボール（26日、関学大31―15関大、花園ラグビー場）関学大が31―15で関大に快勝し、開幕6連勝で4年連続61度目の優勝を決めた。開始早々にエースQB星野秀太（3年）が負傷交代したが、代わった弟のQB太吾（1年）が窮地を救った。上位3校が関西代表となる全日本大学選手権（決勝が甲子園ボウル）への出場も決まった。11月10日の最終戦で、同率優勝の可能性を残す立命大と戦う。関学大のリーグ優勝は2018年から6年連続。20年はコロナ禍でトーナメント方式となった大会を制している。 いきなりのピンチを力に変えた。開始からわずか2分で倒れ、担架で運び出された今季初先発のエースQB星野秀の後を受け、計4TDの攻撃を指揮した弟の太吾が胸を張った。 「マジか…とは思いましたが、やるしかないと腹をくくりました。兄の気持ちも持ちながら最後までやり切りました」 予期せぬ出番に戸惑いながらも冷静だった。登場から最初の攻撃でテンポよく敵陣エンドゾーン前まで迫ると、1Q7分16秒、RB沢井尋（4年）の2ヤード先制TDを演出。その後も順調に得点を重ね、第3Q5分43秒には自らWR五十嵐太郎（3年）へ27ヤードの鮮やかなTDパスを決めた。 「ちょっと高かったのですが、うまく捕ってくれました」と星野太はほほえんだ。ハーフタイムにマネジャーを通じて、兄から「後は任せたぞ」のメッセージとともにリストバンドを手渡されていた。 燃えたのは弟だけではない。エースRB伊丹翔栄（4年）は気迫あふれるランで計16回、1TDを含む計162ヤードを獲得し、チームを勢いづけた。「（星野秀は）3年生ですが、オフェンスを一緒に背負ってくれている。感情が入ったと思います」と振り返る。 目を赤くしたのは、関大への雪辱の思いもあった。「去年、負けたことを思い出しました」と打ち明ける。昨季も6戦目で優勝を決めながら、最終戦で関大に敗れたため、6勝1敗で関大、立命大と3校同率V。くじによる抽選でかろうじて甲子園ボウルへの出場権をつかんだ。 開幕直前、重大な規律違反で複数の部員が日本協会から資格停止などの処分を科されるなど揺れた今季、まずは関西学生リーグの優勝を手にした。だが、試合後、静かに肩を抱き合ったただけで、喜びを爆発させる選手は誰もいなかった。
史上最多を更新する甲子園ボウル7連覇へ、さらに強く。歩みを止めるわけにはいかない。（月僧正弥）
