知ったら全員驚く…日本から「路線バス」が消える日
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
日本の地方で「未来都市」が実現?
以前、朝の情報番組 「グッド!モーニング」で地方発イノベーションの可能性が取り上げられた。 「世界一自動運転が進んだ街」として紹介されたのは、人口2万4000人の茨城県境町。ここでは、「自動運転バス」が1日18便運行し、「未来都市」が実現しつつあるという。 運転席がない自動運転バスは時速20キロで4キロの走行し、役場や病院、銀行、学校、道の駅など回る。遠隔監視システムを使って自動運転バス3台を監視しており、これまでに事故はないとのことだ。 2年前から定期運行し、累計1万2000人が利用。「病院とか銀行お金をおろすのに、こういうのがあると助かる」といった町民のコメントも紹介された。 ここに、日本の未来の姿があるのか――。 番組内で、この自動運転バスのサービスを提供するBOLDLY代表取締役社長兼CEOの佐治友基氏は、当初から「巨大IT企業を意識していた」「ニーズの最先端はアメリカや中国よりも日本の田舎にある」「日本での成功を世界で横展開できる」と語っていた。 その言葉のとおり、ドイツなど海外からも視察もあることや、年間約7億円の経済効果を生んでいることなどが紹介された。
ローカルでは「多極集中」がより重要に
少子高齢化時代、地方・ローカルにこそイノベーションの可能性があるのか。 『未来の年表 業界大変化』著者の河合雅司氏は「みんなで力を結集してやっていくという意味でも、地方の方がやりやすい。少子高齢化が逆にステップアップするチャンスになる」と語る。 『未来の年表 業界大変化』では、乗り合いバスの赤字の実態や地域の商圏人口(周辺人口)を維持する必要性について解説している。 〈国交省の「2022年版交通政策白書」によれば、2020年度は乗り合いバス事業者の99.6%が赤字であった。同年度の廃止キロ数は鉄道が146.6キロメートルに対し、路線バスは1543キロメートルだ。路線バスの廃止キロ数は2010~2020年度の累計で1万3845キロメートルに及ぶ。〉(『未来の年表 業界大変化』より) 乗り合いバス事業者は「99.6%が赤字」という衝撃的な現実があるものの、自動運転バスに置き換えが起き、地方の商圏で経済効果を生み出す可能性がある。 『未来の年表 業界大変化』の第2部では、「『多極分散』ではなく『多極集中』で商圏を維持する」ことの必要性・重要性を解く。 〈人々がバラバラに住むことで商圏人口が著しく縮小したならば、企業や店舗は経営が成り立たなくなり、撤退や廃業が進む。民間サービスが届かなくなればさらに人口流出が速まり、ますます企業や店舗の撤退、廃業が加速するという悪循環となる。 「多極分散」では行政サービスや公的サービスもコストパフォーマンスが悪くなり、国家財政や地方財政が悪化する。やがて増税や社会保険料の引き上げにつながり、国民の可処分所得が低下するのである。 国交省の資料によれば、全国の居住地域の51.0%で2050年までに人口が半減し、18.7%では無人となる。社会インフラや行政サービスを維持するには、ある程度の人口密度が必要なのである。〉(『未来の年表 業界大変化』より) 過疎化・無人化がますます進む地方で、少子高齢化を逆転の機会とできるか。まずは、「多極集中」を徹底するしかない。 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
現代新書編集部